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No.22/モブ男
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「お早う。」
朝の日差しの中で、笑顔がキラキラしてる。
「あれ?キイ」
バタンッ、ガチャ。
京平が、開けたばかりの玄関のドアを素早く閉めて鍵をかける。
ドンドンッ!
「加賀ー、なんで閉めんの?開けてよ!」
ドアの向こうから声がする。
「京平、キイチが居る。」
「いや、あれは幻だ。気にすんな。」
ドンドンッ!
「加賀ー。まことっちー。」
やっぱり声がする。
「京平…。キイチが呼んでる。」
チッ、隣からの舌打ち。びっくりした。何で友だちにそんな態度なんだ。昨日も、ファミレスでキイチを置き去りにしたし。
「ダチなのに、なんで?」
「だから、違うって。」
「でも、家まで来てくれてんのに…、」
京平がオレの顔を見て、ドンドンいってるドアを見ると、溜め息ついた。イヤそうな顔してドアを開けてる。
「何だよ朝っぱらから。こっちは今から出かけんだよ。」
「えー?どこ行くの?」
「お前に関係ねえだろ。」
「◯◯遊園地。一緒に行」
隣の京平の手のひらが、ガバッとオレの口をふさぐ。またびっくりして、京平の事を見た。
「行く行く。遊園地!」
「お前は来んな!」
息苦しくて、京平の手のひらをはがす。
「でも、みんな一緒の方が楽しいだろ。」
「ほらほら、まことっちがそう言ってるんだから。」
「……分かったよ。」
京平が、諦めたように頷いた。キイチが上機嫌で京平の隣に並ぶ。オレは2人の後ろを付いて歩く。
キイチが楽しそうに京平に話しかけて、京平がなんか返事してる。やっぱ、仲いいし。
キイチいいな…うらやましいな…。
もしかして、京平が不機嫌なのってキイチにオレと一緒に居るところを見られたくなかったのかな。そうだよなぁ、セフレとか、友だちに見られたくないよな…。
なんか、楽しみにしてた遊園地が…。
どんどん、視線が下がって目の前の2人の背中が消える。オレのスニーカーが交互に動くのを見る。足が重いなって思った。
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