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No.23/モブ男
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「兄ちゃんっ!」
「会いたかったっ!」
遊園地の入り口で、オレを見つけて2人が駆け寄って来た。
「え、弟って双子なの?」
「うん。」
オレは楓と紅葉にぎゅうぎゅうにされながら、辛うじて答えた。キイチが、そっくりなんだねーって感心してる。
「弟君達、お早う。お兄さんと親しくさせてもらってる能戸儀一です。今日は飛び入り参加なんだけど、宜しくね。」
キイチの笑顔は、やっぱりキラキラしてる。
「お早うございます。僕は桜井楓です。兄の事は僕達に任せて下さい。」
「お早うございます。僕は桜井紅葉です。こちらの事は構わず楽しんで下さい。」
オレの両側の笑顔も、同じくらいキラキラだ…。
なんか、すごい礼儀正しいなー3人とも。ふふふふふ、って笑顔がぶつかり合ってる。それを見てる京平がうんざりした顔してるのが気になるけど。
ぞろぞろとチケット売り場へ並ぶ。
あの人達カッコいいねって、声が聞こえた。わっ!…女の子たちがチラチラ見てる。今ごろ気付いた…顔面偏差値がオレの周りだけ高い。
何でここに来る前に気付かなかったんだろ…もうイヤだ。帰りたくなってきた。モテない自分と、モテ男が四人。もう何だこれ、なんの罰ゲーム?
「ほら、チケット買ったから入ろう。」
うだうだ考えてたら、京平がいつの間に買ったのか、チケットを渡してくれる。
「あ、お金払う。いくら?」
「真琴のは俺のおごり。昨日のファミレスの代わり。」
「え、でも…。」
「いいから行こう。」
差し出される手のひら、優しい笑顔。カッコよくて、胸がきゅうってなる…あ、ダメだ。好きにならないように気を付けないと。オレはセフレなんだから。
好きになって迷惑がられたら、さすがにバカなオレでも…きっと傷つく。
…あ、そうだ。
ガシッと後ろにあった腕を掴んで、京平の手のひらにキイチの手を重ねた。これで良し。2人は仲良いから。
「ちょ、真琴!」
「え?まことっち、」
「さ、兄ちゃん行こう。」
「兄ちゃん、何から回ろうか、」
両側から楓と紅葉がオレの腕を取る。
2人に引かれるまま入場しながら、京平がキイチの手のひらをペイッと投げたのがちらっと見えた。
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