アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
No.24/モブ男
-
古い日本家屋の前で、ポカンと建物を見上げる。なんか、なんか…想像してたより本格的。入ったら呪いますよーという雰囲気…。しかも、中から悲鳴が聞こえた気がした…。
オレの両隣の腕を掴んで、楓と紅葉を前に押し出す。2人の後ろに隠れる。そうすると、京平とキイチが後ろに居るから皆んなに囲まれてちょっと安心できる。
「兄ちゃん、入るよ?」
「兄ちゃん、止めとく?」
「うぅ…い、行く。」
「真琴、無理しなくてもいいぞ。」
「まことっち、大丈夫?」
「だ、だ、だいじょぶ。」
だって、お化け屋敷に行きたくってここに来たのにやめたら駄目じゃん。怖いもの見るの好きなんだけど…怖がりなんだよな…もう、どうしてこうヘタレなんかなオレ。
楓と紅葉が躊躇なく前に進む、オレは2人を掴んだまま後に続いて恐る恐る中に入った。玄関は薄暗く、外の陽気がウソみたいに少し寒い。廊下に踏み出した途端に足元の床が、ギシリ…と音を立てて軋む。それだけでオレの心臓もギシッてなる。
薄暗さに目が慣れてくると、廊下の壁が剥がれてたり血糊がついてるのが分かった。天井も蜘蛛の巣が張ってたりところどころ穴が空いてるし、血の手形がある…。ひいぃぃ、って内心なりながら進む。
もう、これ本物の廃屋なんじゃないの。遊園地だって気がしねえよ…。いや、いや、大丈夫、これは作り物の家、
ぎぃあぁぁぁ、
「うお!」
突然、前方の引き戸から悲鳴が聞こえた。ただでさえビクついてたオレの体は、ドッキーンっと床からちょびっと浮いた…。
「大丈夫か?」
後ろから京平の声。大丈夫って言おうとしたら、
ビュオォ、
「ぎえっ!」
な、なんか、横から冷たい風が吹いた。
「部屋の中に入るよ。」
「進んでも平気?」
「う、うん。」
楓と紅葉が心配してオレを見る。2人の袖をおもっきし引っ張ったから、ビローンってなってる。ほんとヘタレでごめん。
ガタリ、
引き戸を開けた楓が中に踏み込む。紅葉も次に部屋に踏み込む。戸が小さいから一人づつしか入れない。オレも紅葉の背中にくっ付いて中に入った。赤い照明の部屋だ…ん?赤い着物?
「ひいっ!」
無数の日本人形。なんか、おかっぱ頭の赤い着物を着た人形が、壁に貼り付けられてる。その微かに笑ってる顔が怖い!しかもこっちを見てるみたいでヤダ。オレは目を合わすと呪われそうで下を向いた。
さわっ、
「っ!」
うなじに、なんか、細いなんかが触った。とっさに上を見ると…、
「わっ!」
天井から長い髪の毛が伸びて揺れてる。ゆっくりと、動き、か、顔が、こっちを見て、
「ぎぃあぁぁぁ!」
怖くて近くの体に抱きついた。腕が背中に回って、ぎゅっと抱きしめられる。温かい人の体温。
「ふふっ、怖がりなんだね。かわいい、」
「ふあ、キイチ…。あ!ごめん!」
すごい勢いで抱きついたから、足踏んだかもしれない。オレの身長よりキイチのが少し低い。なのに、ちゃんと抱きとめてくれてる。ほんと、オレってヘタレすぎ。
「ほんとごめん。痛かったろ?」
「ううん、大丈夫。」
優しくてキラキラの笑顔。おお、キイチって綺麗なんだなぁ。まつげ長い…、少し伏せてるから更に長く見えた。なんだか見とれてぼうっとしてると、口に柔らかいのが触れた。
ん?
「能戸、やめろ!」
「あっ!ちょっと何してんの!」
「加賀さん、ちゃんと見張っててよ!」
3人が騒いでいる。ゆっくりキイチが離れた。
「ごちそうさま。続きはまた後でね、」
あ、あれ?今、キスした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
47 / 235