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No.24/モテ男
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呆然としてる真琴が、能戸から離されて双子に連れてかれてる。赤い部屋を出ると、次はまた廊下。
ピチョーン……、
どこからともなく、隠されたスピーカーから水音が聞こえてくる。双子に挟まれた真琴の肩がビクッと上がる。大丈夫か?思った以上に怖がりだな。
反応が良くって、お化け屋敷のいいカモになってる。そのせいで、脅かし役の人から風当てられたり、髪の毛当てられたりしてるけど、本人は分かってなさそうだな。
ガタンッ!
「はうっ!」
廊下の窓ガラスに張り付く、顔に青白いメークをして血糊が付いた白い着物を着た男。
明らかにビビって飛び上がる真琴…。ほんと、ブレないな。まさに、お化け屋敷の正しい楽しみ方の見本。
「ぷぷっ、かっわいい。」
隣で能戸が喜ぶ、こいつは真琴の反応を見る度に笑ってる。かなりツボらしい。
ほんと、どうしたもんか…さっきは真琴にキスしたし。いや油断してた俺も悪かったけど。あの時、後ろから来た女の子グループに逆ナンされて断って、彼女たちが部屋を先に出るのを見送ってたらあんな事に。
「兄ちゃん、次の部屋に進むよ。」
「無理そうなら、リタイアしようか?」
「だ、だいじょぶ、だから。」
双子に答える声が、微かに震えてる。隣で能戸が笑いを堪えて震えてる。…ほんと、なんだかな。
ガタリ、
今度は紅葉が引き戸を開ける。また一人づつ中に踏み込む。真琴が入った瞬間、
「ぎゃっ!」
またなんか驚くものがあったのか…。見事に真琴の悲鳴しか聞こえない。双子がどうかは知らねえけど、俺は真琴が気掛かりで怖いとかあんま思えない。能戸については論外だな。
能戸に続いて中に入る。青い照明のタイル張りの風呂場。湯船に浮かぶ長い黒髪。蛇口から赤い水滴が落ちる。
ピチョーン……、
ああ、この音が聞こえてたのか。
確かこのお化け屋敷のストーリーは、ずいぶん昔に殺人事件があって住む人が居なくなり放置された呪われた家。しかも、この屋敷に入った人間は次々と謎の死を遂げたり、無事に出る事が出来ないとか、入り口のところに書いてあった。
「うぅ、怖い…、」
真琴が楓の背中に張り付き、黒髪入りの赤い湯船が見れなくて、反対方向の鏡がある壁を見てる。
カタカタ、
いきなり鏡がスライドし、中から白い手がぬうっと出た。
「ぎぃあぁぁぁ!」
真琴がまた跳ねた。楓から手を離して、パニクってるところを能戸がぎゅっと後ろから抱きしめた。
「ふふふっ!まことっち、すごい良い反応。」
ちゅ、と首筋にキスしやがった。
「わわっ!」
「能戸!お前、マジでやめろ!」
がっと、能戸の肩を掴んで引き離す。
「ちょっと、加賀痛いんだけど。」
肩を抑えて、睨んでくる。
その間に双子が、真琴を背後に隠して能戸の前に出た。
「これ以上、兄ちゃんに触らないで下さい。」
「また…。本当、いい加減にして下さい。」
「あれ?首に、なんかキスされた?」
真琴の不思議そうな呟きが、双子の後ろから聞こえた。
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