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No.26/モブ男
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ジェットコースターの列に並んで、順番待ちしてる。きぃやぁぁぁぁ、って楽しそうな悲鳴がしてるけど…。なんか、これ、見てるだけで怖そう。いや、た、楽しそう…。
「兄ちゃん、なんか顔色悪いよ。」
「止めようか、無理しない方がいいよ。」
実はちょっと苦手なんだよな。あの高い所から一気に落ちる時の浮遊感が、ぞぞぞぞってなる。
「これ、この遊園地で一番激しいヤツだから別のジェットコースターにするか?」
「でも京平、せっかくここまで並んだのに…あともう少し待てば乗れるし。それに一回は乗ってみたいと思ってたから。」
さっきマップ見てた時にみんなこれに乗りたいって言ってた。お化け屋敷は今思うとなんかオレだけ騒いでて、きっとみんな楽しめなかったと思うんだよな。
「本当大丈夫?」
「もう僕達の番になるよ?」
あ、ジェットコースターが戻ってきた。これに乗り込まないといけない。列が進む。
「乗ろう、大丈夫だから。」
オレは一番後ろにいたから、先頭に立ってる京平に頷いた。
「分かった。」
京平が乗り込む。その後ろにいたキイチがふいに列を離れた。
「俺は1人で乗るから。弟君達ここに乗って。」
傍に避けて、京平の後ろの席に楓と紅葉を乗せた。オレは京平の隣に行こうとしたら、ぎゅっと腕を掴まれた。オレの手を引いてそのまま出口に向かう。
「え、キイチ、」
「あ!能戸!」
兄ちゃんって2人の声もしたけど…、前を行くキイチに引かれるままにジェットコースターから離れた。
なんか、キイチが気になった。
カタン、カタン、
ジェットコースターが動き出す、京平と弟に手を振る。3人が微妙な顔してる…あ、怖いのかな。さすがにこの急すぎるレールの角度は怖いよな!
隣で一緒に手を振っているキイチに話しかけた。
「ジェットコースター好きって言ってたのに、良かったのか?」
「うん。まことっち、すっごい無理してただろ。あんな激しいのに乗ったらしばらく動けなくなるよ。」
「ありがと、キイチは優しいな。」
「…せっかくだから別の乗り物に乗ろうよ。みんなとは後で合流すればいいから、少しだけ2人で遊ぼう。」
「でも、みんなが心配する。」
「大丈夫、ちゃんと加賀のスマホにメールしとく。それとも俺と2人は嫌?」
キイチが首を傾けて、ちょっと悲しげな顔をする。どきんとした…だって、なんか男なんだけど綺麗で、そんな顔されたら断れない。
「イヤじゃないよ。じゃあ楓と紅葉にはオレからメールしとく。」
「何に乗ろうか?」
言いながら京平にメールを送ってる。オレも2人にメールした。ついでにキイチと番号交換もする。
「あの水の中をザバーって落ちるやつ!」
「ああ!あれね、確かこっちだよ。行こう、」
キイチが指差す方向へ、並んで歩き出した。
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