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No.26/モテ男
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ジェットコースターからやっと解放された。急いで真琴が手を振っていた場所へ行くけど、案の定もうそこにはいなかった。
「あ、兄ちゃんからメール着てる。」
「あ、本当だ。しばらく2人で遊ぶとか書かれてるし。」
双子がスマホ片手に騒いでいる。俺もスマホを取り出し確認する。
"まことっちとデート、楽しんでくるよ"
ご丁寧にハートのスタンプまで付いてる。ふざけんな。元は俺と2人きりのデートだったっての!
「電話出ないなー。」
「何かの乗り物に乗ってるかも。」
「取り敢えず、その辺探すか。」
3人で乗り物の列がある度に、真琴と能戸の姿を探し見ながら歩く。念の為2人に、昼食も兼ねて30分後にフードコートで待ち合わせるメールを入れておいた。
「あーもう、こんな人が多かったら見つかんないって。」
「やっぱ、GPSのアプリを真琴のスマホに仕込んどくべきだったかな。」
「…お前ら、それはさすがに止めといてやれ。」
もっと兄に自由をやってくれ。ただでさえ居所聞いたり、しょっちゅうメールや電話で束縛してんのに。自宅でもあんな調子で構いまくって…あ、なんか腹立ってきた。
「まあ今は居場所聞いたらちゃんと答えてくれるからやらないけど。」
「もし答えてくれなくなったら即仕込むよ。」
ふふふ、双子が笑う。もうこいつら、マジでどうにかしねえと…2人きりでデート出来ねえじゃねーか。しかも真琴自身も双子が何しても許しそうなんだよな。家族だから、きっとそう言うんだろう。
「真琴はなんで家族だからって許すんだろな。俺だったら、お前らみたいにしつこく束縛されたらとっくにキレてる。」
2人が顔を見合わせる。
「だって、真琴は家族に強い憧れがあるからね。」
「父、母、自分、兄弟。今は真琴の思う理想の家族になってるから失くすのが怖いのかもね。」
「どうして、」
「本当の父親は、真琴がまだ小さい時に浮気相手と駆け落ちしてる。それからは母子家庭で、母親が苦労してるの見てきたから、自分の事以上に母さんを経済的にも楽にしてあげたいんだよ。」
「それと幸せな家族に囲まれて笑っててほしいんだろう。真琴はよく本当の父親の事を、母さんを幸せに出来なかったダメ男って言ってるしね。」
あ、ダメ男って…うちの母親が言った言葉だ。昨日真琴が話そうとしてたのはこの事か…やべ、つい聞いてしまった。
「ごめん、踏み込んだ事を聞いたな。」
「別にいいよ。僕達は理想の家族とかにさほど憧れもなかったし、元母と父は円満離婚だからさ。」
「そう。元母にはたまに会ってるよ。父と元母共に弁護士だからその辺はきっちりしてる。」
「なるほどな。なら、家族をたてに真琴を振り回すのは止めろ。」
「それは好きだから無理。真琴も嫌がってないし。」
「そうそう。加賀さんも、騙してヤったくせに人に説教する立場にないからね。」
「……。」
確かに、そうかもしれない…。
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