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No.27/モテ男
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そろそろ待合わせの時間に近付いてきたから、フードコートに向かってる。途中で観覧車が見えた。
「なあ、観覧車の所に行ってもいいか?」
「なに、乗りたいの?」
「えー、このメンツで観覧車はないって。」
「違うし。乗るんじゃなくて、乗ろうとしてるかどうかの確認。能戸が観覧車好きなんだよ。」
「ふうん。なら行こっか。」
「当てもなく探すよりいいしね。」
観覧車の側で列に並んでいる人をざっと見る。真琴と能戸はいない。くそ、空振りか。
「あ、あれって真琴だ。」
「あ、本当だ。もう直ぐ降りてくるよ待とう。」
双子が指差す方を見ると、観覧車の中に真琴が見えた。たぶん、ハッキリとは見えねえけど奥にいる人影が能戸だろ。
観覧車はゆったりと、窓に寄って遠くを見ている真琴を運ぶ。あんなにころころと表情を変える奴なのに、その顔は初めて見る無表情だった。なんだか、知らない別人を見る様でびっくりした。
カタン、
観覧車が下に着いた。扉が開き、双子と俺に気付いた能戸が真琴の肩を叩いて報せる。2人がこっちに歩いて来た。
「あれ、みんなどうしたんだ。」
きょとんとしてる、これはスマホ見てないな。
「兄ちゃん!」
「何度も電話したんだよ!」
「え?ごめん、気付かなかった。」
「真琴メール見てないだろ、今からフードコートで昼飯。2人に同じメールしてたけど、」
ジト目で問う俺に、あーあ意外と早く見つかったなぁと能戸が呟く。多分こいつは見てたに違いない。
「そういえば、どうしてここに来たんだ?観覧車から降りたらいるからびっくりした。」
真琴が問う。
「ああ。中学の時に能戸とこの遊園地で一緒に遊んだ事あったから、観覧車が好きって言ってたの思い出した。」
「えっ、」
能戸には珍しく驚き顔。あー、俺の記憶力馬鹿にしてんな。一応それなりに覚えてるっての。
「へえー、2人は中学からずっと友だちなんだな。あ、そうだ。今日キイチの家に泊まりに行く事になった。一回家に帰ってから出かけるから。」
「は?」
「え?」
「おいっ!」
真琴が能戸の隣で笑ってる。こいつはただ単に泊まりに行って一緒に楽しく話でもして、別々の布団で寝るとでも思ってんだろ。絶対、違うからな!喰われるからな!
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