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No.28/モブ男
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フードコートで買ったホットドッグとポテト、炭酸の入った紙コップを置いて5人で白くて丸い小さなテーブルセットに座ってる。
「でも、俺は行きたい。」
「駄目!能戸さんの家に泊まるのは許可出来ない。」
「なんで僕達の許可無く、勝手に返事したの。」
「うっ、でも、行ってみたかったから。」
「ねえ、何でこんな事に2人の許可がいるわけ。まことっちが決めて良くない?」
「…全くな。でも、お前の家に泊まるってのは俺も反対。」
なんか、こんな感じでずっと怒られてる。折角の楽しい雰囲気がめちゃくちゃで、それがオレのせいみたいだから悲しくなってきた。なんでキイチの家に泊まるのがそんなにダメなのか。
あ、そうだ!
「なあ、そんならキイチがうちに泊まったらいいだろ。」
そしたらみんな納得するんじゃねえの。
「…まあ、それなら良いよ。」
「…そうだね、許可する。」
「うーん、なんかちょっと納得いかないけど…良いよ。今夜はまことっちが隣で寝てくれるなら、そっちの家に泊まる。」
「うん!約束だし隣で寝る。」
やった!みんな微妙な反応だけどなんとか頷いてくれた。オレはキイチが嫌いじゃないし京平の友だちだからってのもあるけど、でもそれよりもなんか気になる。なんか、引っかかる。
「おい…真琴、もちっと色々考えろ。」
「あ、…京平ごめん、」
そうだった。セフレのくせして友だちに近付くとか不味いよな。京平ちょっと怒ってる…。ほんと、なんでこんなにバカなんだろ。言われたようにもっと色々考えないと。
でもどうしたらいいのか…もう泊まりの事決まってしまったし。これでやっぱり止めるとか言えねえよ。
みんながやっとホットドッグを食べ始める。オレは食欲なくなってきた。ぼんやりと、紙コップの炭酸が氷の周りに貼り着き弾けるのを見つめる。
「兄ちゃん、どうしたの。」
「ホットドッグ冷めるよ。」
「…うん。お腹痛いから2人で食べて。」
「まことっち大丈夫?」
「きついならもう帰るか?」
あ、ダメだ…みんなが心配そうにしてる。
「ううん、大丈夫。少し、じっとしてれば治るから。」
オレは今までちょっとした事で簡単に女の子を好きになって告白してフラれてきた。いつでも、これは本気の恋だって信じてた。
フラれても引きずらなかったし、龍壱にバカだなって言われてもへこたれなかった。
こんなに苦しくって辛いなんて、思った事はなかった。
これが人を好きになるという事なら、今までのオレは恋してなんかいなかったんだ…。
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