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No.30/モブ男
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オレの部屋の床に、この前と同じ様に布団を敷いてる。隣で寝そべってるキイチはお風呂上がりでいい匂いがする。いや、オレも同じ匂いなんだけどなんか違う。なんて言うのか…すごい近寄りたくなる。
「どしたの、」
トーク画面を開いて誰かとやり取りしてたキイチがスマホを置いてこっちを向いた。あ、じっと見過ぎたか。
「…ごめんな。四人で寝るの狭いだろ。」
今、楓は風呂に入ってて、紅葉はコンビニ。風呂上がりで暑いからって3人でやったじゃんけんで負けてアイス買いに行ってる。
なんかその時に一緒に行こうってすっごい誘われたけど、どうしてもキイチと話したくて断った。ダッシュで帰ってくるとか使命感に燃えてたけどゆっくりでいいよって言っといた。
「まあ今回は別にいいよ。…まことっちはさ…加賀と付き合ってんの?」
「えっ!?…えっと、ち、違う。と、隣の席のただのクラスメイト…。」
友達って言えない、自分がちょっと悲しい。
「ふうん。なんだヤってるだけなのか。……あのヘタレ野郎。」
ヘタレ野郎って聞こえたけど、気のせいか?…それよりも前半のヤってるって言葉がグワングワンと頭の中で響く。
セフレの事がバレないようにしないと!
「ヤ、ヤってねえよ。」
「何それ…嘘が下手。別に隠さなくていいよ。」
「……隠してない。京平はきっと嫌がるから、変な誤解しないでくれ。」
お願いだから…、
オレは今日、京平を観察してて気付いた事がある。京平の側にいるキイチの姿、それを見てずっと気になってたのは…。
「…そっか。そういう事にしといてあげるよ。俺はまことっちと仲良くなりたいし。」
仲良くなりたいのはオレもだけど…。
「なんでそんな顔するかな。」
キイチの手が伸びて俺の体を引き寄せる。…あ、いい匂い。無意識に擦り寄る。
長いまつ毛が少し伏せられて顔が近づく、つやつやした唇が触れそうなほどに近くにある。
「キイチは京平の事が好きなのか?」
伏せられていたまつ毛が上がった、目がビー玉みたいに蛍光灯を反射する。ピカピカで綺麗だ。唇が微かに動く。
「どうして、」
もう、その声を聞けば分かってしまった。
トン、トン、トン、階段を上がる足音が近づく、
キイチの背中へ腕を回し抱き込んだ。顔が見えない様に胸へ隠す。
ガチャ、
「兄ちゃんアイス……能戸さん、なにしてるんですか。」
「違う、オレが抱きしめた。」
「はあ?もう何やってんの。離れて兄ちゃん。」
紅葉が呆れてる。オレは落ち着きを取り戻したキイチを放した。
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