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No.30/モテ男
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土曜の夜は、能戸の所為であんまし眠れなかった。あいつがちょこちょこ真琴の様子を書いて送ってくるから、気になって返信してたら急になんの返しも来なくなった。
しかも日曜日になっても何の返信もないまま、とうとう月曜日になってるし。
会ったら文句言ってやる。
「加賀おはよう。」
登校中に後ろからかかるいつもの声。
「能戸。返信を中途半端に止めるとか、なん」
隣に並んだ能戸を見て言葉を失った。
黒い髪。
先週まで着崩してた制服はネクタイがきっちりあげられ、紺色のカーディガンも学校指定の物だ。こいつがこんなにちゃんとした格好してるのなんて、入学して2カ月くらいの間しかなかった。俺も入学以来、人の事言える格好じゃないけど。
「どうしたんだ、その格好。」
「ん?なんか変?この格好が普通だろ。」
「いや、そうだけど…。」
「…もう3年になったんだし、いつまでもふらふらしてられないから。決意表明みたいなもん。」
茶髪もおかしくはなかったし似合ってたけど、俺は黒髪の方が能戸らしいと思う。また誑かされる奴が出そうで怖いな。
「…そっか。そっちの方がいいお前らしいし。まるで中学ん時みたいだな。」
「ふんクソ野郎。その手にはもうのらないし無意識にタチが悪いのも気にしない。不毛な事はもう止める。」
全然意味わからん。
「はあ?なんの話。クソ野郎って何だよ。俺がなんかしたのか?むしろお前から始めたくせに、中途半端なとこでトークの返信止める嫌がらせのがタチ悪いわ。」
「あー返信忘れてた。色々考える事が多くてちょっと気分的にそれどころじゃなかった。」
「何だそれ…。別にいいけどさ、」
「なあ。まことっちと仲良くなりたいけど少し壁があるんだよな…。」
「お前が危険人物だからだろ。」
あ、睨まれた。
「違う。全部お前がヘタレな所為だ。」
「クソ野郎の次はヘタレ。なんでそんなにケンカ売ってくんだよ。マジでなんなんだ。」
…能戸様だったな。
「それより…あの双子。かなりまことっちに一途だし手強そう。俺には見向きもしないよ。」
「スルーした上に急になんの報告だよ。」
あのバスでのやり取りの所為か?
報告受けたついでにどうしても気になってる事を聞いてみる。
「…で、お前は泊まった時手を出してないよな?」
なんか呆れた顔してる。
「してねえよ、四人で仲良く寝たよ。それにもう狙うの止めたし。…俺にまことっちのことが好きなの隠さないんだ?あんなに警戒してたくせに。ま、バレバレだったけど…。」
「お前がそこまで色々分かってんのに隠しても意味ないだろ俺の片思いだしな。それよりお前が狙うの止めたの聞いて安心した。」
目を見開いた能戸が驚き顏で呟いた。
「まことっちも、お前も…」
「何だよ、」
能戸はその先を言わなかった。
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