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No.31/モブ男
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龍壱とオレの席で話していたら、京平が教室に入ってきた。途端に目が釘付けになる。なんか隣で彼女の自慢話とか言ってるけど、耳をマッハで駆け抜けていく。
あ、こっちに来る。な、なんでだ。いや隣の席だった、そうだった。
どうしよう…挨拶しても大丈夫かな、まだ怒ってんのかな。話しかけてウザがられたら速攻逃げよう、そうしよう。だって耐えられない。
動揺して思考がこんがらがる。
うわあ、もう目の前にいた。
「真琴お早う。」
あ、京平から先に挨拶してくれた!
「お、おおおはよう。」
なんかもう変な返しになったけど一応挨拶出来た!
京平が隣の席に着く。
土曜日の事はもう怒ってねえのかな。顔を見るけど普通だし、オレを見てもイライラしてない。
よかった。ほんとに嬉しい。
「あ、これ有難うな。」
借りてた服の入った紙袋を渡す。母さんがアイロンをかけてくれたから多分大丈夫だろうけど…中をちらりと覗く京平を見守る。大丈夫か?やっぱりクリーニングだったか?
「わざわざアイロンまでかけてくれてんのか。適当で良かったのに有難うな。」
京平がかすかに笑う。うおお、カッコいい…。はっ!そうだ謝るなら今だ!
「あ、ううん。あ、あのさ…遊園地で色々ごめんな。オレは怒らせてばっかりだったし。」
「怒る?……ああ観覧車でのアレか。結局双子を選んだんだろ。」
「え?」
怒られたのは観覧車だけじゃないけど。でも、双子を選んだってどういう意味だろ。う〜ん。
つんつん、
折角考え事してんのに肩を突かれた。
「なあなあ真琴。いつの間に加賀とそんなに仲良くなってんの?」
「あ?…うーんと。仲良くっていうか、その…、あ、そうだ!龍壱が観察しろって言った日から、オレのモテの師匠。」
まさかセフレとか言えねえし。
「…師匠、」
くの字になり口を抑えて震える体。ぶはっ、龍壱が盛大に吹き出した。
「まじか!まじで観察してたんか!お前相変わらず笑かすな。しかもモテの師匠。そういうとこ好きだぜ真琴っ。あはははっ。」
ジロリと京平が龍壱を睨む。
「原、お前がこうなった全ての原因か。…真琴もちっと友達は選べ。」
あ、オレまで叱られた。
「だって。龍壱は悪い奴じゃないし…彼女がいなければもっといいけどさ。お前に彼女いるとか何だよ、早く別れりゃいいのに。」
「さり気に何言ってんだっての。俺はまだえりりんとは別れねえ。いや、もう結婚するかもな。」
「させるかっ!別れろー別れろー。」
いつもの調子で手の平を龍壱にかざして、呪いをかけるオレの横顔に視線が刺さった。はっ!京平の事を放ったらかしてた。
「…やっぱり女か。双子はどうすんだよ。」
「どうするって、何が?」
家族なんだからずっと一緒にいるよ。
「…この話は放課後うちでしよう。予定とか大丈夫か?」
「うん。いいけど。」
なんの話だよって龍壱が聞いてくるけど、オレもよく分からない。分からないけど、ドキドキする。
放課後の約束。
また京平の側にいられるんだ。
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