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No.32/モブ男
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「お、意外と美味い。京平も食べてみろよ。」
京平の勧めてくれた菓子はいちご味だった。スナックに合うのかちょっと微妙じゃねえ?とか思いながら京平が春限定だし今しか食えないって押すから、そんなに食べたいのならと思って買ってみた。
京平の部屋に並んで座って、テーブルの上に買ってきた菓子とジュースを置いてる。封を切ったいちご味スナックに、隣から手が伸びて一つ摘んで口へ運んだ。口が動くのをじっと見つめる。
「何だこれ。…ん?いちご味…マジか。」
パッケージを改めて見て驚いてるし。なんでコレ勧めたんだろ。
首を傾げてもう一つ摘んでまた口に入れてる。
「ほんのり甘い。でも、不思議と塩味と合ってて美味い。」
「そうっ、それ。不思議なんだよなあ。ピンク色だし可愛いけど。」
あ、プリンも冷えてるうちに食べよう。手に取ってペリペリとフタを剥がして、プラスチックの小さいスプーンで生クリームとプリンをすくう。口に入れるとさあっと生クリームの甘さが広がって、プリンが冷たくってトロッとしてる。
「ふおぉ。うん、うん、美味い!」
「ふ、良かったな。」
京平の声がすっごく優しい。しかも表情まで…うわぁ、もうイケメンってさ…。こんな顔されたら勘違いするって!
ドキドキして落ち着かない。急いでプリンを食べるふりして視線を外す。もくもくと食べてたら京平が話しかけてきた。
「なあ、結局のところ好きな女がいんのか?」
「え?…女の子は好きだけど。」
でも今は付き合いたいとは思ってない。ただ好きか嫌いかなら好きって話だし。
「…誰が好きなんだ。」
これってどう答えたらいいんだ?付き合いたいと思ってるくらい好きなのは京平だけど…。でも言えねえよ。ウザがられたくない。
「…なんで。教えたくない。」
「双子はどうすんだよ。」
そんな身を乗り出して聞かれてもなあ。
「楓と紅葉とはずっと一緒だ。」
いつか別々に暮らす日が来てもつながってる。家族はずっと一緒なんだ。
「ずっと一緒…。じゃあやっぱり双子なのか。」
京平がそう言ってテーブルへ片肘をついて顔を埋めた。溜め息までつかれた。え?なんで?
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