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No.33/モブ男
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激辛スナックのせいで唇がヒリヒリして敏感になってる気がする。
そっとくっ付いてた柔らかな唇が少し離れて、京平の舌がペロリとオレの唇を舐めた。ピリピリッて熱くなってジンと痺れて息が漏れる。
「ふっ、」
頬を包む手のひらからの熱、甘噛みされた下唇が軽く引っ張られ手のひらと唇がゆっくりと遠のく。ほんのりといちごの香り。
ぼうっと見つめる。カッコよくて見惚れた。いちごのスナックの匂いかな、モテ男って甘い匂いも似合うな。
あ!
オレって激辛スナックの強烈なエスニック臭なんじゃね!げっ!炭酸で匂いを消すんだ!
慌てて片手で口を押さえて、テーブルのペットボトルを掴む。息を詰めてキャップを開け飲める限り一気に口へ流し込む。
「ぷはっ!」
もう、何で急にキスすんだよ。絶対ニンニクとか不思議な香辛料の匂いがしただろ…。
あ、そうか。セフレなんだからそんなん京平の気にする事じゃないか。匂いとか気にして恥ずかしくて、嫌われたくなくて焦ってしまうのはオレだけだ。
もう涙が出そうだ。あ、やべ。本当に涙が出てきた。
急いでペットボトルをテーブルへ置いてシャツの袖で涙を拭う。泣いたら面倒だって思われる。
「どうした真琴。大丈夫か、」
京平が俯いたオレの顔を覗き込む。急いで顔を上げた。
「なんか喉渇いてたから。京平こそ腹痛いんだろ。横になるか?」
「いや腹は痛くない。」
京平の手がまた頬に伸びて来た。あ、どうしよう。まだ匂いが気になって急いで息を止める。
…苦しい。近づく顔、…ダメ、苦しい。
京平の肩へ両手を掛けて押し退ける。同時にオレの体も精一杯後ろへ仰け反った。顔を横に背けて詰めてた息を吐いて大きく空気を吸った。はぁ…苦しかった。
「そんなに嫌だったのか…。」
低い声。はっとして京平を見る。
「京平、ちが」
ガッと両方の手首を掴まれた。
「痛っ!なに、」
強く手首を引かれて体を倒される。
「っ!」
ドッ、ガタ、
絨毯の上だからそんなに痛くなかったけど、肘とか打ったし横腹が当たってテーブルがずれた。コトンッてペットボトルが倒れた音もする。蓋閉めててよかったとか、どうでもいい事にホッとした。
丸くなって鈍い痛みに横腹を抑えるオレの体の上を京平が跨ぐ。仰向けにされたけど、横腹を抑えた手のひらを退ける事が出来なかった。
痛いとどうして手のひらで庇おうとするんだろ…。またどうでもいい事を考える。
京平の両手がオレの頭を押え付けてキスしてくる。さっきみたいに触れて感触を確かめるような優しいキスじゃなかった。
「…んっ、…っ、」
息もつけないほど深く塞がれ、口内を荒らされて舌が絡まり強く吸われる。逃げられなくてどうしようもないまま。
何で急にこんな事になったんだろ。
気持ちが付いていけなくて、横腹も痛くて訳が分からなくて…涙が流れた。
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