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No.34/モブ男
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京平に呼び出された楓と紅葉が、わざわざ迎えに来てくれて一緒に自宅へ帰って来た。
さっきはオレの顔を見た途端に2人がすごい勢いで京平に怒りだしたから、びっくりして慌てて止めた。もう泣いていなかったのに、泣いた事がバレてしまってた。
あんなに怖い顔をした2人を見るのは久し振りだった。
前のは確かオレの部屋で友だちと2人でゲームしてたらいきなり柔道もどきの寝技をかけられた時だった。たまたま入って来た2人が何故かすごい怒って、殴りかかろうとするのを急いで止めた。
その後からその友だちが話してくれなくなって…今もそのまんま。思い出すと悲しくなる。
こんな事はたまにある。なんか急に友だちから避けられる事。オレがバカだからなのか…その度に辛くて、2人に話すと慰めてくれる。楓も紅葉もすごく優しい。
「まだ目が赤くなったままだよ。いっぱい泣いたんだね。」
「ああ目が腫れてしまってるよ。そんなに痛かったんだね。」
2人がリビングのソファーに座ってるオレの前に膝をついて、冷やしたタオルと湿布を持って顔を覗き込んでくる。
「……これは違くて、えっと、激辛スナック食べたら辛かったから。」
結局京平は何言われても、一言も言い返さなかった。でもオレは自分が悪かったんだと思う。また京平を怒らせるような事をしたんだきっと。
「あ、激辛スナック…。」
そうだよ!それだよ!すごい好きだって言ってたのにオレが勝手に食べたから…。
だって京平が買ったやつ食べてみたかったんだ、好きな物とか知りたかった。
「兄ちゃん打ったところ見せて。 湿布貼るから。」
「紅葉、大丈夫だから湿布とか貼んなくていいよ。オレが勝手に転んで打っただけだし、…だからもう京平に文句とか無しな。」
「加賀さんの事そんなに庇わなくていいのに。」
「加賀さんが電話で自分が怪我させたからって言ってたよ。」
「ううん。ほとんにオレが転んだだけ。」
楓と紅葉の視線が合ってお互いに頷き合う。これってよく見かける。双子ってすごいなあ。言葉にしなくても気持ちが分かるんだ。なんかうらやましい。
楓はオレの方に向き直り優しく微笑んだ。
「兄ちゃん。このタオルで目を押さえてなよ、冷やしといた方がいいよ。もう今日は出掛けちゃ駄目だからね。」
「うん。」
オレにタオルを渡して楓がリビングを出て行った。紅葉がいいって言ったのにシャツをめくって赤くなってる横腹に湿布を貼る。
「冷たっ!」
「あ、ごめん兄ちゃん。ほらちゃんとタオルで目を冷やして。」
「うん。」
あ、激辛スナックは明日の朝コンビニで買って京平に渡そう。ちゃんと謝って許してもらうんだ。
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