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No.36/モブ男
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教室を出たけど、京平の行きそうな場所ってどこか分かんねえ。
あ、キイチと一緒にいるかも。でもキイチのクラス知らねえし…どうすっかな。
廊下にいる奴に声をかけてキイチのクラスを聞いてみようと思ったらちょうど向こうから2人が歩いて来るのが見えた。
京平はキイチと話しながら少しだけ笑う。そんな表情を見るときゅうう…ってなる。やっぱりカッコいい。
ぼんやり見てたらキイチがこっちに気付いた。目が合う。あれ?髪が黒い。
「まことっちお早う。」
制服もきちんと着てネクタイしてる。なんか別人みたいだな…でもやっぱり綺麗で目が離せない。
「おはよう。髪黒くしたんだな、」
「ああうん。昨日からこれなんだ。そういえば昨日は会わなかったな。」
「うん。でも似合ってる。キイチはやっぱり綺麗だな。」
「そんな事ないけど。…じゃあ、俺と付き合う?今身辺整理してるからもうすぐフリーだよ。」
「駄目だ!」
慌てたように京平が割り込む。そんなに慌てなくてもキイチは京平の事が好きだし冗談なのにな。
オレはちゃんとセフレの事がバレないように、近づき過ぎないようにって頑張ってるつもりだし。
狙わないって言ってただろ、とか何とか京平が小声でキイチに文句を言う。仲がいいなあって2人のやり取りを見る。
あ、そうだコレを渡さねえと!
「あ、あのさ…京平…これ。」
勇気を出してコンビニの袋を差し出す。声がちょっと震えたかも。
「……何だ、」
受け取り中を覗いてる。ん?て顔してオレを見た。
「昨日、激辛スナック勝手に食べてごめんな。あんなに好きだって言ってたのに…これからはちゃんと気をつけるから。だから許してもらえないかって思って、」
びっくりした顔してる。え?あれ?
「なに加賀。スナックごときで怒ってんの。バッカじゃねーの。」
キイチが鼻で笑う。
「違うわっ!!スナックで怒ったりとかしてねえよ!…真琴、ちょっと2人で話そう。」
「あ、うん。」
腕を掴まれて歩き出す。少し先を歩く横顔が近くにある。ドキンドキンと心臓が大きく打つ。
もうすぐ授業が始まるから廊下にいた生徒がいつの間にか居なくなってる。真っ直ぐ進んで隅の方の空き教室へ入り込む。
シャツ越しに感じていた圧迫感が消え京平の手のひらが腕を離れる。少し寂しくなって手のひらを目で追う。
あの手のひらを捕まえて手を繋いだらダメかな…。ダメだろうなあ…。
「……ケガは大丈夫か。痛かっただろ。」
慌てて手のひらから目を離して京平を見る。
「あっ、うん、もう平気だから。ちょっと打っただけだし。」
「……本当ごめんな。あと激辛スナックの事は全然怒ってねえから。そんなに物凄く好きって程でもねえし。」
「え、」
じゃあなんで怒ったんだろ。分からなくなってきた。
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