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No.38/モブ男
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授業が楽しい。黒板を写そうとすると京平の後ろ姿が目に入る。先生の真ん前の席なのに頬杖をついてる…態度悪い。あ、先生に睨まれてんのに窓の方見てるし。
先生の話を聞けよ…あ、オレもか。でも今日は珍しく眠くねえよ。むしろすっごい集中してるからな…京平観察だけどさ。
「真琴、ここの問題当たるから教えろ。」
龍壱が隣から小声で囁いた。オレは一応宿題はやってきてる。楓と紅葉は既に3年の授業内容を理解しているからオレの家庭教師だ。
「うん。」
ノートを渡す。龍壱が当たるとこの答えだけ写して戻してきた。
「さんきゅ、これで寝れる。指されたら起こして。」
そう言って早速寝始める。今日はえりりんとデートかな…。一応、一緒に帰ろうって言ってみるか。後で京平から教えてもらってキイチのクラスに行こう。
また京平の観察に熱中してたら、
「原っ!」
先生が怒ってる。あ、そういや起こし忘れてたな。まあ、いいか。
「え、そんな事気にしてたの?」
屋上の青空の下、キイチのあっけらかんとした声。あれ?なんか、すっごいあっさりしてんな。京平の事、好きな筈なのに…。
「でも、オレは自分の気持ちとか、いろいろ内緒にしてたし。」
「うん?内緒にしてたの?すっごい、分かりやすかったから、全部知ってたけど。」
「ええっ??でも、嫌だっただろ?」
「ううん。ヘタレ野郎の事はもういいんだ。不毛な事は止めるって決めたから。」
ヘタレ野郎…。京平の事か?
「それに、俺はまことっちの事好きだからさ。もう友達のつもりでいたのに、そうやって改まって言われると嫌なんだけど。」
そう言って微笑むキイチは眩しい。クラクラしながら、ごめんって謝った。いいよって言って、来い!と言わんばかりに腕を広げられる。
フラフラと腕の中に収まろうとして襟首を掴まれた。
「ぐぇっ、」
「惑わされるな。」
ゼイゼイなりながら、京平がめっちゃ睨んでる…。話を聞かれたくないからって、入り口のドアの前にいてもらってた。さっきまで、あそこにいたのにな。
あ!入り口と、ここまでの距離って結構ある。
「すげえ!京平って、足速いな!」
「……そんな事ねえよ。」
「なに、照れてんの?うける。」
「っ違う!」
京平の反応に、キイチが楽しそうに笑ってる。やっぱり2人は仲良しなんだなって思う。今朝2人を見た時は、本当は羨ましくってちょっと悲しかったけど、今は違う。
好きな人たちが仲良くしてるのは嬉しいんだ。心が満たされるから。
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