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No.44/モテ男
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目の前の指先が震える。顔色も悪く見える…血の気の引いた顔。目を見開いていたのは一瞬、今はどこを見てるのか分からない…焦点が合わないまま俺を越えて遠くに気持ちを奪われてる。
俺ではない…誰か。…双子に?
好きだなんて、言葉だけの繋がりなんてこんなにも脆い。
「真琴、」
名前を呼べばハッとした様に瞬いた。
「……昼飯食わねえと昼休み終わるぞ。」
「あ……うん、」
のろのろと弁当を手に持つ、箸に刺したままのミートボールをぼうっと見てる。俺はサンドウィッチを口に入れた…もう、味とか分かんねーし。
烏龍茶で押し流して食べ進める。俺は怒ったりしないって決めてた…けど、確かに怒ってはいない。
この感情は何だ…怒りとは違う、嫉妬は有るけど…もっと苦しい…胸が痛い……切ない。
「真琴、食べねえの?」
「……うん。」
箸に刺さったミートボールを弁当の中に落として蓋を閉める。箸と一緒に巾着に包んで片付けた。
「先に教室に行っとくな、」
弁当と水筒を持って立ち上がるとふらりと空き教室を出て行った。戸が閉まって足音が遠ざかる。
「…あー……くそっ、」
俺は彼氏の居る女とも寝てきたし別にそれが悪い事なんて思った事無かった。ヤりたければヤる、気が乗らねえならヤらない。
「自分がやってきた事と同じだろ…。」
同じ?…いや、今俺は寝取られ男の気持ちを味わってる。
「ハッ!バカだな。」
これは俺がやってきた事への報いか?
「だから甘んじて受けろって?」
何処からともなくメラメラと湧く感情…訳の分からない闘志。
根底に在るのは真琴が俺を好きだと言ってくれた言葉だけ…もう、それだけだ。脆くてもいい、それでも信じる。
グッと烏龍茶のペットボトルを握る。ほとんど中身のない容器がへこむ。
「諦めねえし、」
受けてやろうじゃねえか!上等だコラ!俺の中の好きって気持ちはまだ消えてねえ…なら、根競べだな。俺が根を上げる限界まで…ギリギリまで。
「バカを舐めんなよ!」
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