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No.45/モブ男
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「兄ちゃん何見てんの、」
「わぁっ!な、なんでもない。」
熱中してて二階に上がってくる足音に気づいてなかった。びっくりして心臓がどきどきしてる。
紅葉が覗き込もうとする、慌ててスマホの画面を閉じた。
「ふうん…。」
「それよりさっきの電話なんだったんだ?」
家の固定電話が鳴ってさっきまで紅葉はリビングに置いてある電話で話してた。
「ああ、今日は父さんと母さんは外で一緒に食事して来るから遅くなるって言ってたよ。」
「そっか。じゃあ夕食作らないと。」
もう直ぐ楓も帰ってくるし冷蔵庫の中にあるもの見てメニューを決めたい。
下に降りようと思って立ち上がった、母さんがいない時の家事はオレがやってる。もともと母さんと2人だったし1人で留守番してたから何か手伝いたくてやってるうちに覚えた。
「もう少し後でいいよ。」
「なんで?」
首を傾げたら肩を押されて後ろへ下がり、ベッドに足をすくわれて尻餅をついた。
「わっ、」
バランスを崩した上半身を押されてベッドに倒れ込む。痛くはないけどびっくりする。オレはなんか怒らせるような事でもしたのか。
「今日は僕の番だよ。」
怒ってない?微笑む顔…でもなんか怖い。
「待って、紅葉…、」
無意識のうちにTシャツの襟ぐりを掴んだ指先が震える…昼休みの京平の顔を思い出す、泣きそうだった…。
「どうしたの。寒いの?温めてあげる。」
震える指先を包まれる、温かい手のひら。額にちゅってキスされる。頬にもちゅってされる。そして唇にも…温かくて柔らかな唇。
「兄ちゃん。」
3年間ずっとそうだったように優しく気遣うように呼ばれる。そうだった…紅葉がオレに怒るとかないのに。
「ほら、もう大丈夫。」
いつの間にか指先の震えは止まってた。
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