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No.46/モブ男
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「何で加賀さんまで食ってんの。」
「本当、朝食くらい家で食べてから来てよ。」
「あー?勧められたら断れねえだろ。」
「ごめん無理矢理だったか?」
「いや朝はコーヒーしか飲んでなかったし、丁度腹減ってたから大丈夫。」
リビングの食卓で四人で座って朝食中なんだけど楓と紅葉がなんか機嫌悪い。もともと2人は朝が苦手だけど、でもいつもはこんなにイライラしてない。
「京平ごめんな。」
母さんが朝食を四人分用意してしまって、京平にも一緒に食べて貰ってる。オレは京平に申し訳なくてまた謝った。
「兄ちゃん謝る事無いよ。」
「そうそう。兄ちゃんは悪く無いから。」
「そうだぞ真琴。双子の所為で謝る事ないから。」
ぎろって2人が京平を睨んだ。京平も睨み返してる…。いつからこんなに仲が悪くなったんだろ…。
3人が初めて会った日から思い返してみる、あれ…3人の仲が良かった記憶が無い。あれ?
「もしかして、3人とも仲良く無いのか?」
「何言ってるんだ…。」
「今更なんだけど。」
「仲良く出来る訳無いよ。」
「どうして?仲良く出来る訳無いってなんで?」
3人が溜め息ついてる。なんでだろ…オレは仲良くしてほしいけど…。
図書館に着いて、勉強が出来るスペースに真っ直ぐに進んだ。
「キイチがいる。」
ほぼ開館と同じ時刻、キイチはすでに座って勉強してる。遠くからでも分かる綺麗な横顔、茶色の髪も好きだったけど黒い髪も似合う…。
「あ、本当だ。能戸も勉強してんのか、」
キイチの周りはまだ空いてる。朝の図書館は静かで物音が響く。あまり音を立てないように気をつけて机を挟んで向い側に立つ下を向いてノートに書き込んでるからオレに気づいてない。
「キイチ、」
小さい声で呼んだ。こっちを向く、
「まことっち、」
小さな声で呼び返されるキラキラの笑顔。やっぱり綺麗だ。
「ここ座ってもいいか、」
「うん。加賀と弟君も一緒なんだな。」
オレはキイチの向い側に腰を下ろした。両脇にはいつの間にか楓と京平が座ってる。紅葉がムスッとしたままキイチの隣の席に座った、楓の向い側。また機嫌が悪くなってる…紅葉にしては珍しい。
「紅葉、図書館に付き合わせてごめん。」
図書館より家のが良かったんだろうな…。
「……兄ちゃんの所為じゃないよ。この位置が気に入らないだけ。」
「オレと替わるか?」
「それじゃ意味無いし、いいよ此処で。」
紅葉がやっと微笑んでくれる。オレも微笑み返して勉強道具を机に出した。
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