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No.48/モブ男
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「好きって…如何してそんな事になってんの。」
「そんな大事な事を何で言ってくれなかったの。」
楓と紅葉がオレの寝てた布団の上に座って、起こされて直ぐに色々と質問されるままに答えてたオレに詰め寄る。
「えと…、いつの間にか好きになってて…、」
オレは惚れっぽい。2人には今まで好きな人を聞かれたら話したりもしたけど、自分からは報告する程の事とかなかった。だって女の子には速攻で告白して速攻でフラれてたし。龍壱にフラれ話を聞いてもらって笑ってもらってスッキリしてた。
だから京平を好きな事も2人に言わなかった、きっとフラれるって思ってたし。今でもウソじゃないかって思ってるけど、好きって言ってもらった事。
ウソでもいい。好きって言ってもらった、それだけで満足なんだ。
「兄ちゃん加賀さんはどうかと思うけど。ねえ、最初だって騙されてヤられたんだよ?」
紅葉に諭すように顔を覗き込まれた。
「…うん、それはそうなんだけど。」
「まだ幸い付き合ってる訳じゃ無いし、間に合って良かった。良く考えてみて、僕達は加賀さんより断然優秀だし将来性も有るよ。」
楓がオレの手を包んでにっこりと微笑んだ。
「でも好きになんのに将来性とかそんなん考えた事ないし。それにオレたちは兄弟だから、」
「実際さ兄弟っていっても僕達は血が繋がってないし、」
「もし弟じゃ無かったら好きになってくれるの、」
「え…弟じゃなかったら?」
そんなの考えた事なかった。弟じゃなかったらこの状況をどう思ったんだろう。
オレはずっと父親と兄弟が欲しかった。母さんに新しい家族を紹介された時、すっごく嬉しくて良い兄ちゃんになりたいって思った…けど、2人はオレよりもずっと頭が良くてカッコ良くて、全てにおいてスゴかった。唯一勝ってた身長も直ぐに追い越されたし。今はもうなんにも兄ちゃんらしい所なんて無い。
ただ2人が兄ちゃんって呼んでくれるのだけが残された兄ちゃんらしい所。そんなんじゃ兄ちゃんじゃない?
ドクドクと打つ心臓の音。なんだかさあっと血の気が引いてきた。
「もう…兄ちゃんって思ってない?」
ああきっとオレは怖かったんだ…もし、2人に嫌われたらどうなんのか…2人が望む事を断ったらどうなんのか。どうしたらいい…家族じゃなくなるのはイヤだ。
「弟よりも恋人になりたい。」
楓が真剣な表情で言った。紅葉は黙ってオレたちを見てる。
コンコン、
ドアのノック音。
「入るぞ。もう30分経った。」
京平がドアを開けて言う。オレは寝起きで事情が良く分からないけど、京平とキイチは紅葉の部屋で30分待つって事になってたみたいだ。
「まことっちお早う。どう、ちゃんと話出来た?」
京平に続いて入ったキイチがドアを閉めて京平の隣り楓の後ろに屈んだ。
「おはよう。…話はしたけど、ちょっと…、」
「真琴、俺と付き合ってくれ。ずっと言ってるけど本気で好きだ。俺たちは両想いだろ。」
前のめりになった京平が楓と紅葉の間に割り込んだ。紅葉は迷惑そうな顔しながらも場所を譲ってキイチの隣りに移動する。
「弟じゃなくて恋人候補として考えてみてよ。真剣に付き合いたいって思ってるんだ。」
楓が包んだままだったオレの手をぎゅっと強く握った。
頭が、ガンガンする…。
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