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No.50/モテ男
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進路指導は一応、無難な大学名を言って順調に終わった。真琴は進路どうすんのかな、後で確認しておかねえと。
真琴の家へ向かって能戸と並んで歩いてる。明日からはゴールデンウィーク、うちの親は温泉旅行に行く。受験生の俺は当然の様に置き去りだ。いや別について行く気もねえけど。かと言って何の予定も無い。
去年はゴールデンウィーク中、女の家を渡り歩いてたな。遠い昔の事に思える…そういや俺はそこそこモテる男だったわ。
「加賀、少しは進展してんの?」
「…何が、」
「まことっちの事。」
進展…肉体的な事で言えば後退してるし、精神的な事で言えば切羽詰まってる。まあ、つまりは下半身問題は未解決って話だ。
「進展とか無えよ!はぁ…。セフレって意外としつこいよな、グラつくんだよ。どうにかしてえんだけど…お前どうやって切ったんだ。」
「ああ、セフレには別の人を紹介しといたから割とすんなり引いてくれた。」
「何だそれ、そいつ俺にも紹介してくれ。」
「無理。お前だもん。」
ッ!
ッ!!
驚愕の事実に能戸を二度見する。奴は澄ました顔してる。
「はあ!?何勝手な事してくれてんだ!道理で、知らない番号からの電話とかメールが増えた訳だ。基本全部無視してっけど…犯人はお前か!」
「ははっ。男には紹介してないから有難く思え、」
「有難く無えっての!俺に何の恨みがあんだよ…マジ酷えな。」
「恨みね…無いと思ってんの?」
チラッと横目で見られた。グサッと視線が心の中に刺さる。
恨み…有るかもな。いや有るだろ。
俺はずっと能戸を無視してきた、こいつはどんな思いで俺に話し掛けてきてたんだろ。登校中はいっつも隣に並んで来てたし…。
謝るなら今しかないんじゃないか。俺は最近ずっと後悔してた。
「今更だけど悪かったよ。俺は別にお前が嫌いな訳じゃないんだ。たださ友達とかいらねえなって思ってただけで、お前だけを無視してた訳じゃない。」
許して欲しいとは言えない、でもせめて謝罪くらいは受け取ってくれ。
「何だよ……もっと早く聞きたかった。そしたら、俺は」
先の言葉を飲んだ。能戸は何を言いたかったんだろうか…。
「ごめん。」
謝る俺なんて見てない。考え事をしてるのかずっと前を向いたまま。
「…無理にとは言わない。今更だと思うだろうけど…友達になれないか、」
急に立ち止まり、能戸がいきなり来た道を振り返った。
「……帰る。」
そのまま駅へ向かって歩き出す背中。
俺には掛ける言葉なんて無い、そんな資格は無いんだ。
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