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No.79/モブ男
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昨日、京平に付き合ってもらい行ってきたオープンキャンパス。ちゃんと学校の資料も読んだし家族にも話して進路を決めた。
「桜井。今日さ授業終わったらうちに遊びに来ねえ?」
東野がコンビニで買ったおにぎりを食べながら言う。今日は日曜日だから午前中から授業があって午後3時前には塾が終わる。
「いーけど…。」
オレも話したい事があったし、今日は京平と会う約束してねえから頷く。
今は昼の休憩時間で、オレは家から弁当を持ってきてる。おかずが全部好物だらけだ。家族のみんなや京平からもっと食べろって言われてる、でもちょっと量が多いかも。
「東野、唐揚げ食う?」
「お、食う食う!ありがと!」
笑顔で唐揚げをパクつく。東野の家って京平んちの近くかな。帰りにちょこっとでいいから会えないか連絡してみとこう。顔見るだけでいいから会いたい。
「桜井、ポテチとコーラでいいか?」
東野の家は結構新しい二階建てで、京平の家とは駅を挟んで逆方向だった。でもそんなに遠くはない。
「うん。家の人は誰もいねえの?」
「出掛けてる。」
「ふうん…なんかマンガがいっぱいあるな。あ、これ読んでもいいか?」
本棚にずらっとマンガが並んでる。途中までしか読んでないやつの続きを発見した。
「おう、それ面白いよな。」
「うん。」
しばらくマンガを読んでたらふと、言おうと思ってた事を思い出した。やべ、言い損ねるとこだった。
「あのな、オレ今日で塾辞めるんだ。進学先を変える事にしたからさ。」
ベッドにもたれてオレの隣からマンガを覗き込んでた東野が、ガバッと体を起こした。
「はあっ?…なんだよそれ、急に何でだよ。K大学じゃなくても塾来ればいいだろ!」
肩を掴まれる結構力が強い。ちょっと痛えし。
「もう塾は必要ないから。それより京平の事なんだけど」
「またその話かよ!なあどこの大学にするんだよ、教えろよ。」
オレの言葉を遮って、なにがそんなに気に障ったのか怒った様に言う。肩を掴む手の平にぐっと力がこもった。
「痛っ。でも、京平の事」
「京平、京平って、いっつもそればっか。何なんだよ、加賀の事はどうでもいいだろ!」
また遮られる。なんでいつもまともに話を聞かねえんだ!ムッとして言い返す。
「よくねえよ!東野が誤解したまんまで京平の事を許す気がないなら友だちにはなれない。」
「……友達じゃなくていい。」
「なに?ちょっ、うわ、」
ドタっと、掴まれてた肩を押されて体が倒れる。じゅうたんとクッションがあって良かった、後頭部が大きなクッションに埋もれる。
「桜井、」
あれ、なんか、この雰囲気って…。
顔が近づく。たぶんだけどキスしようとしてねえか。京平とキスする様になってから、何となくそういう雰囲気がわかる様になってきた。
ヤバい。とっさに口に手を当ててフタをする、手の甲にふにゅっと少しカサついた唇があたる。
「手退けろよ。」
「ヤダ、」
手で抑えてるから、くぐもった声で答えて首を振った。
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