アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
恋愛初等部~美少年と僕と~
-
パタパタと背後から音がする。
「先生~っ。平松先生!」
振り返るとそこには数人の児童がいた。
「ここ、教えて下さいっ。」
優しく微笑み、
「いいですよ。」
と答える。
ここは私立桜桃(おうとう)学園大学付属の初等部。いわば、世間の小学校だ。社長令嬢や大手企業の御曹司など、大金持ちや親が有名だったりする子供が通っている。
教師になって初めて配属された学校だが、数年経ち、職も大分手について、子供たちもなつき、このようにノートを片手に僕の元へ走って来るようになった。
小学校だから、と甘く見ていたが、パワフルだし、勉強もそれなりに難しいものを学ぶ。その上、もっと専門的に、という理事長の考えで、世間の中学校や高校のように教科担当が割り振られており、僕は算数科を担っている。
赴任して間もないので、担任は持っていないが、5年B組の副担任である。
5年生にもなるとある程度落ち着いてきて、元気なのは相変わらずなのだが、会話に世間話が出てくるので、少し笑える。
「今の総理大臣ってさー…」
「この前の選挙でー…」
「アベノミックス?」
「アベノミクスだよ!」
「ここの知事って…」
など少しばかりませた会話をする。
学問の方も気にするようになり、この学校ではテストで学年順位が出るのだが、それを気にしていたりもする。
その中でも僕が最も気になっているのは『世川(せがわ)煌輝(こうき)』という男子児童だ。紅顔の美少年で、見た目的には小学校3年生ぐらいだ。声も変声し始めている子がちらほらいる最中、とても高い。
しかし、その割には‐いや、その割と言っていいのか…。勉強は常に学年首位をキープしており、その上、それを周囲に言わないクールに見える子である。
僕はこの少年にとても魅力を感じ、この職でこんなことがあって良いのか分からないが、よく見てしまう。
彼は人当たりが良くとても良く、僕と目があってもニコっとしてくれるし、朝会えば、「おはようございます。」と言う。
やはり僕はこの少年に魅かれているらしい。
そんなことをあれやこれや考えながら、次の授業の教室へ向かう。
「えーっと、次は…。」
念の為、次の教室を確認する。
「…え…。」
そこには、今さっき考えていた、煌輝くんがいる、5年B組の文字があった。
何て運が悪いのだろうか。こんなに頭がこの子で一杯になっている時に限って…。
しかし、行く以外に選択肢はない。僕は確認票を閉じると、チャイムが鳴りそうなことを気にかけながら、足早にその5年B組へと向かった。
「始めますよー。」
と教室のドアを開いた時にタイミングよくチャイムが鳴った。
児童たちの机の上には、授業の用意があり、僕の方が準備が悪いなあなどと反省しつつ、教卓の前に立つ。
「起立!」
学級委員が元気良く声を出す。
「今から3時間目の授業を始めますっ!」
「はい!」
「お願いしますっ!」
「お願いしまーす!」
やはり元気が良い。
「はい、お願いします。」
挨拶をして、礼をし、顔を上げると、煌輝くんと目が合う。また微笑まれ、どきりとする。そして形の良いピンク色の唇が開く。
「先生、今日は何をやるのですか?」
彼の端正な声を聞き、我に返る。
「え、あ…。すみません。今日は…。」
今、先程まで微笑んでいた口元が、ニヤリと嘲笑うように見えたのは、僕の気の所為だろうか…。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1 / 11