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Drei_3
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フィンはよろよろとこちらに歩いてくる蓮を見るともう一度ミアへと向かい合う
「…ミア、いつも言ってるが家畜に傷がつくのも体調を崩されるのも困る。ましてやこいつはルイス様の所有物だぞ?」
「…その、大事なルイス様の家畜の性処理してやってただけですけど」
「それでも熱があるやつに今必要か?」
「あ〜、それでそんなイヤらしい顔してんだぁ」
「ミア、もし痛めつけたいならお前のその後ろにいる奴か自分の家畜にやれ」
「はーい」
ミアはそこまで聞くともうこれ以上説教を聞くのはごめんだと勝手に話を打ち上げ倉庫から帰っていった
「…蓮」
「は、い」
「俺は何か起きたら困るからと朝注意したよな?」
「…っ…すみません、ありがとうございました」
「…はぁ。ほら、戻るぞ」
「はい」
フィンは蓮の返事を聞くと倉庫から歩き出した
その後ろを追いかけるように蓮が歩き出すが目が回ったかのように視界がぐにゃぐにゃと歪む
あ、と思った時には遅く蓮はあしをつまづかせ、倒れてしまった
後ろからガタンと物音がしたフィンは振り返ると驚き蓮の元へ駆け寄る
「おい!蓮、大丈夫か?!」
一目見れば蓮の具合が大分悪いのはわかるがフィンの口からはありきたりな言葉が溢れた
「大丈夫です…っ」
蓮はそう答えると立ち上がり歩きだそうとする
その後ろ姿を見て居られなかったフィンは蓮の手を取り止めた
「待て、またそこで転ばれて怪我したら困るから俺が運ぶ」
フィンはそう言って蓮を担ごうとしたが蓮はそれを拒否した
「…っ大丈夫です!俺歩けますから」
蓮はそう言うともたついた足取りで歩き出す
「……とんだ頑固な奴隷だな」
フィンは蓮の後ろ姿を見つめながらぽつりとそうこぼした
フィンに大丈夫だと言った時の蓮には悔しさなのか目に涙を堪え必死に自分の力でなんとかしようという意志が見えたからかフィンはそれ以上蓮へと手を差し延べるのは返って蓮のプライドを傷つけると思い手を引っ込めた
「…っ、クソ」
蓮はうまく動いてくれない体を引きずって部屋に戻る途中自分の非力さや本当に人として扱われていないこの異様な環境の空気に悔しさを感じて、必死に涙を堪えていた
――ヴァンパイアに助けられたくなんかねぇ…っ
蓮は心でそう思うと苦虫をかみつぶすような表情で必死に部屋へと戻ったのだった
◇◇◇◇◇
フィンは蓮が無事に部屋へたどり着いたのを見届けると、すぐさま蓮の世話をする為家来を呼んだ
「…先日来た家畜が疲れで発熱しているようだから、今すぐトール先生を呼んで診てやってほしい」
フィンはそう命じると次は蓮の体調不良が長引いたときのためにルイスの食事となる担当の入れ替えをはじめた
――あの様子だと最低三日は寝込むな
フィンはそう考え、早速順番を入れ替えるため紙に目を通した
一方ルイスは自室でいつもと同じく外の世界を窓から眺めていた
しかし先程から城が騒がしい、と誰にもわからないほどの変化にも気づきルイスはフィンを呼び出す
呼ばれたフィンは作業を中断すると
ルイスの部屋へと駆けつけた。
「ルイス様?どうしましたか?」
「フィン…少し城がうるさいけど…」
「失礼致しました。ルイス様はやはり耳が宜しいですね」
「………慣れたよ……それで何を騒いでたの?」
「…先日城に迎え入れたルイス様専属の性奴隷なのですが」
「…なにかあったの?」
「……こちらに来て少し疲れからか体調を崩しまして」
「体調…?」
「はい、人間はわたし達と違い繊細で弱い生き物です。風邪一つでさえも命を落としかねませんので安静を取らせようと思いそのために少し騒ぎたっておりました」
「…そう」
「はい、ですのでルイス様のお食事の奴隷も順番を入れ替えましたので」
「…その奴隷はどんな状態なの…?」
「えっ…蓮のことですか?」
そう聞き返すフィンは驚いた。
こんな事は前からも度々あった事で今更珍しい事でもない。
しかし報告するたびルイスは興味の色を示すどころか話を聞いてもいないほどだった彼が蓮の様子を聞いてくるなんて、本当にルイス様はどうなされたのか
フィンはそう思っていた
「……蓮…?蓮って言うんだ」
「…そうです、初めてお会いした日にも蓮と自ら自己紹介なされてましたよ」
「…そう…でも家畜の名前なんて覚えてられないよ」
「そう、ですよね…」
ルイスのその冷たく突き放す言葉にフィンはいつもどおりのルイス様だ、と胸を撫で下ろした
「…それでは私はまだ仕事がありますのでこれで失礼致します」
「……うん…頑張ってね」
ルイスはそう鈴の音のような声で返事をすると再び窓の外へと顔を向けた
「勿体無いお言葉ありがとうございます。でわ、また何かありましたらお呼びください」
フィンはそう言うと部屋を出ていった
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