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Vier_3
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ルイスは頭に浮かび出す嫌な思い出を掻き消すようにして窓の外へと移動した。
「…ヒトもヴァンパイアも変わらないのに」
そう呟くルイスの表情は確かにいつもと同じく何も表すこともなかったがその赤く暗い吸い込む様な瞳はユラユラと何かを写し揺れ動いていた
ルイスはそれからフィンの連れてきた家畜から昼食を摂りベットへ潜り込むと夜まで深く眠りに着いた
そして夜、再び夕飯の為にフィンはルイスを起こすと血を与え作業のようそれは済むと再び部屋を出ていったのだった
「…静か」
ルイスは食事を終えてから本を読んでいたがふと辺りのざわめきがない事に気づいて顔を上げる。
窓の外には大きな大きな白く淡い輝きを放つ月に、キラキラと輝く沢山の星空がある
まるで今すぐにでも溢れ落ちてしまいそうなほどの沢山の星空がルイスは好きだった。
そしてあまりにもよく聞こえ過ぎるその耳には夜の囁きは優しくルイスはわざと耳を聞こえないように力み続ける必要がない為心地よく過ごせる静かなひと時だった。
ルイスは夜の森の静かな声、そんな静かな夜に響く昼とは違う波の音、シーンと辺りを包む夜特有の暗闇、しかしそんなものを打ち消すかのように光を優しく与え込む月夜を見て心を癒されていた
「……蓮の声が聞きたい」
ルイスは自分でも何故なのかはわからなかったが蓮の声をふと思い出した
あの日薔薇園で歌っていた綺麗な声
ルイスはあの声を求めていたが、蓮はルイスの前にして一度も心惹かれる声を聞いた事がなかった
倒れてしまいベットで寝かせた日玩具をつけてまで放置して見ていたがルイスの心は甘く喘ぐ蓮には何も惹かれるものがなかった
なんとも自分勝手な行為だが家畜である蓮にはそれを否定する権利はない。
そしてルイスもそんな家畜へ同情も愛情もなかった。
それは今も同じで、
ルイスは思い立ったように再び部屋を出た。
向かう先は蓮の部屋だ
廊下の窓から差し込む淡い光はルイスをより一層綺麗に輝かせる。
何か魅惑的な雰囲気をうんと醸し出すルイスはそんなことに気づくはずもなく蓮の部屋に着くとノックをせずに部屋へと入り込んだ
ベットの上で寝ている蓮を確認するとギシ、と音を立てながらそのベットに腰をかけた
スー、スー、と規則正しく息をして寝ている蓮の表情は寝ていても険しく眉根が寄っている
「……蓮」
ルイスは蓮の気難しそうに寝ている眉間のシワを親指で撫でてやる。
そしてその黒く癖っけなふわふわの髪を梳き撫でながら蓮の名前を呼び続けた
「蓮、起きて」
ルイスが髪を撫でながらそう囁くと蓮はうーとうねってルイスの撫でる手に頭をすり寄せる
ルイスはそんな蓮の姿に少し驚いた。
意識がある時の蓮は快楽に染まりながらもいつでもルイスの事を憎んでいる瞳をしていた
体と心は違うと言いたげに蓮の瞳はいつだって強く意志を灯していたからだ
そんな蓮が寝ていながらも頭をすり寄せて来ることに驚いてしまったのだ
(起きたら嫌な顔、するんだろうな)
ルイスはそんなことを頭の隅で思うと再び蓮を起こす
深く眠っていた蓮も頭を撫でられる感触と先程から耳に入り込む酷く透き通る様な声に意識を浮上させた
「……、…ん…」
蓮は薬で深く眠っていたのかぼんやりとする頭を働かせ瞼を眠そうにパチパチと開いた
すると自分の目の前に腰掛け頭を撫でている人物がやわやわと浮かび上がって蓮は驚いた
今朝酷く冷たい態度を取り悪意を剥き出しにした相手が自分を見つめ名前を呼び頭を撫でている
その表情は変わらず冷たいままだが怒っている様なそんな不穏な空気は纏っていない。
それよりも月夜の輝く柔らかい光にその肌は白く輝きこの世のモノとは思えない程にルイスを輝かせていた
あまりの美しさに蓮はゴクリと唾を飲み込む
するとその赤い瞳が蓮のオッドアイを見つめて口を開いた
「……起きた?」
「…は、い」
「そう。体はどう?」
「あっ……良くなりました…!」
蓮は起きたばかりで忘れていたが今朝のあの酷い頭痛も寒気も気だるさも全て良くなっていた
「……よかった……歩けそう?」
「えっ?あ、はい」
蓮はルイスから出た安堵の言葉に驚きながらも返事をする
「…じゃあ、着いてきて」
「……はい」
ルイスは蓮の返事を聞くとベットから腰をあげ背を向け歩き出す
蓮は主の命令に従うと置いてかれないようにベージュのカーディガンを手に掴むとまだ少し肌寒い春の夜を駆け出した
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