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Sechs
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あの海でルイスと抱き合ってから数日、蓮は喉を酷く痛めたせいで全く声が出なかった
調合してもらった薬も効かない事に困ったフィンは専属の医者を呼び新しい人間の薬を作ってもらう事にした
数時間後に出来た新薬を後で蓮のお昼ご飯の時に持っていくよう奴隷の一人に頼む
そしてお昼を迎えた時頼まれた奴隷がその薬と共にご飯を運ぼうとしたとき後ろから誰かに首を強打され意識を手放してしまった
その後ろに立っていた男は気絶した奴隷をどこかに縛り付けるとさっき盗み聞きしていたご飯と自分の懐に入っていた注射器と薬を確認すると蓮の自室へ向かう
◇◇◇◇◇
あの日から数日、安静のために部屋を出ることを許されなかった蓮は一人窮屈そうに部屋の外を眺めていた
(……ルイス様に触れたい)
空を眺めても花を見ても空気に触れても海の漣を見ても何を見てもルイスの事ばかりが脳裏に浮かぶ
一度認めた途端に沸き上がるルイスへの気持ちに蓮は侵食されていた
生まれてから今迄一度も色恋なぞ経験してこなかったせいで、一体どう沈めて行けばいいのかわからなかったのだ
ぼんやりと惚けた顔をしてルイスの手の感触を思い出し唇に触れようとした時、
部屋のドアがノックされる
返事のできない蓮は自ら部屋の扉を開けると、そこには綺麗な金色の少し長めの髪を後ろでくくり横から前へ流し遊ばせている品のある男が立っていた
「………はじめまして、お昼ご飯持ってきたんだけど食べれるかな?」
見た目通り綺麗で品のある喋り方と声で話す男に蓮はどこかであった気がした
頭の中でぼんやりとそんなことを考えながら男からご飯を受け取り笑顔で会釈する
そしたもう大丈夫だと示すようにご飯を机の上におき再び男の前に戻ったが男は帰るそぶりを見せない
「…?」
「聞いていた以上に酷いんだね…フィン様に頼まれて薬を持ってきたんだ、喉に直接針で打つものなんだけど……大丈夫かい?」
蓮は男の説明を聞きながら頷き、
男の手に持つ薬と注射器を見つめた
男は笑顔で蓮をベットへと連れ込むと蓮をベットに腰掛けさせ、液体を注射器へと移していく
そしてアルコールで蓮の喉周りを小さく拭くと、ぷつり とその注射器の針を白い肌に突き刺した
ピリッとした痛みに体を震わせ、
液体が体の中に入り込むのを待っている
少しして終わったのか蓮の首から針を抜くと、残った液体である薬を蓮に突き出した
「後は残りは直接飲めるかな?」
蓮はこくっと頷き半分ほど残っている液体をすべて飲み込む
空になった小瓶をどうしようかと思っていた時男が蓮の手から引き取った
「これは俺が捨てるよ、どう?良くなりそう?」
蓮は今まだ飲んだばかりなのに聞いてくる男が何だか面白くてクスクスと笑う
男は蓮の笑顔を見ると安心した表情を見せると部屋を出ていった
蓮はフィンやルイス以外の人との久しぶりのコミュニケーションに少し顔を綻ばせて布団に潜り混んだ時あの男に見覚えがあることが勘違いじゃないことに気づいた
実際は見たことがあるわけではないが、あの日ルイスに拘束され目隠しをされベットの上で放置されたときに聞いた男の声だと蓮は気づく
(………あんなに綺麗な人も飼い主様を…)
蓮はそう思うと心に嫌なものがわきだつのがわかった
しかし考えても美貌などは手に入ることはないのだからせめて心は純でいたいと思いベットから起き上がると椅子に座り先ほど男が持ってきたご飯を食べ始めた
あまり食欲がない為あったかく湯気のたつ胃に優しそうなスープを一口飲み込んだ瞬間全身に激痛が走った
「っ?!?!」
スープが体を流れ回る度に体中の内側から痛みが沸き上がり全身を針で刺されているような痛みが走る
特に喉からは呼吸をする事さえもままならないほどに痛みだし自身の唾を飲み込む事さえ気絶するほどに痛い
ヒューヒューと苦しそうに息をしながら蓮はその場に倒れ込んだ
(喉がっ…痛い…焼けるみたいに痛いっ!体中も内側から燃えているみたいだ…っ痛い…誰か…ッ)
蓮は激しい痛みに震えを起こす体を自分の細い腕で抱きしめた
(…ルイス様…ッ…)
◇◇◇◇
窓を見ていたルイスは何やらざわざわと騒ぎ出す風に目を細め伺う
(……………騒がしい)
何かまたミアがイタズラでもしてフィンに怒られているのだろうか…ルイスはそう思い気にするのをやめたが、何故だが胸がざわざわと落ち着かない
面倒事は嫌だが、このままじっとしていても落ち着かないなら一度フィンを訪ねよう
ルイスはそう思うと窓から離れてフィンの元へと向かった
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