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四季折の羽:パロディ【季節の変わり目】
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太陽の日差しが強まる夏の朝。
いつものように成海が作った暖かいご飯を二人で囲い、昨日あった出来事や、色を変えていく山の話をしている時だった。
「ゴホっ、ゴホ…」
「…?」
カラン、と箸が床に落下し、成海は咳き込み始めた。
大丈夫か?と聞くと、「大丈夫。少し咽せただけだ。」と言った。
なんだ。咽せただけかよ。と俺が鼻で笑ってやると、箸を拾い上げ、成海もにこりと笑った。
でも、その日成海の咳は一向に止まらなくて、畑を一緒に耕している時も、ずっと咳をしてた。
風邪かもしれねえから家の中で寝てろ。って言ったら「別に平気だよ。」と言われ頭を撫でられた。
風邪か。季節の変わり目だからかな?
人間ってのは本当に体が弱いらしい。
そんな事でいちいち体調を悪くするのか。
「………」
息がいつもより上がってるこいつの背中は何だか少し弱々しかった。
「今日の夜ご飯、何にしようか。」
「…‼︎………な、なんでもいい。」
急に振り向かれ、目が合うと胸がドキ、として目を逸らしてしまった。
しかも、また素っ気ない返事しちまった。
「そっか。わかった。」
成海はふふっ。と弱く笑った後、頬から顎に流れた汗を手の甲で拭い、鍬を振り上げ土を耕し始めた。
「じゃあ今日も新が好きな焼き魚な?」
「別に好きじゃねえし…。」
体辛いくせに、晩飯の事考えてんのか。
なんだ。全然平気そうじゃねえか。
今日の晩飯は俺も何か手伝ってやるか。と俺も鎌を手に取り草を刈った。
そしてその夜、囲炉裏を囲み、いつものように二人で飯を食べていた。
でも、成海の箸は全然進んでなくて、
成海の咳は、日に日に酷くなっていった。
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