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四季折の羽:パロディ【夏の午後】
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降り続いた雨はすっかり止み、鳶が夏空を優雅に飛び回っていたある日、まだ眠く重い瞼を擦りながら畑へと足を運んだ。
あいつが動けない分、俺が食べ物を摂ってこなくちゃいけない。
畑仕事が終わったら川に行ってみよう。
最近天気も良いから、きっと魚も戻って来てる。
そう思いながら歩いているとすぐ畑に辿り着いた。
「あ、おはよう。」
「…‼︎」
今日は俺があいつの為に精一杯働こうと思っていた。
だけど、畑に着いたら、鍬を持ちこちらを見て微笑む成海が立っていた。
「お前っ、何してんだよ‼︎」
額にびっしょりと汗を掻いてるこいつを見て、つい大声を上げてしまった。
今朝は、起こしたらいけないと思って俺は成海のとこには行かなかった。
寝てると思っていたのに、こいつは平気な顔して畑を耕していた。
「今日は調子が良くて。それに体動かさないと本当に病気になりそうでさ。」
「病気って……熱は?咳は?」
「無いよ。大丈夫だって言っただろ?」
「……でも…」
汗が酷い。顔も真っ赤だし、何より…
「動けるなら……調子良いなら……飯食えよ…」
こいつは、最近ろくに飯食ってなかったから、顔色悪いし、着物から覗く鎖骨は痛々しいほど骨張って見えている。
目の下は黒いクマが出来てて、きっと夜も寝れない日々が続いていたんだと思う。
「頼むから……家で大人しくしててくれよ…」
大丈夫だと繰り返すこいつが、心配で……不安で…
出会った頃と見た目がどんどん変わって痩せ細っていくお前が、心配で仕方がないんだ。
「じゃあ、今日の昼は久しぶりに魚でも食べるか。」
「……魚…家にねぇじゃん。」
「釣って来てやるよ。畑終わったら一緒に川に行こう?」
「…………」
不安が募る中、小さく頷いた。
成海は俺に笑顔を向けた後、また畑を耕し始める。
本当に大丈夫なのかな?って種を撒きながら考えていたら、背後から鍬がガシャン、と落ちる音が聞こえた。
「ゴフッ…」
「‼︎」
振り向くと、成海が地面に膝を付き、前屈みになって口元を押さえている。
「おい‼︎」
種を乗せた浅籠が手から滑り落ち、咳き込む成海の元へと駆け寄ると、成海の足元には赤黒い血が広がっていた。
「は、っ…あれ……おかしいな…」
「おかしいなじゃねえだろ‼︎ち、血がっ‼︎」
ドボドボと、口を押さえた手の隙間から絶えず血が溢れる。
それは、青葉照る夏の午後。
ずっと成海は長引いてるただの風邪なんだと思っていた。
でも、吐血して倒れたこいつを見てようやく気付いた。
成海は、風邪なんかじゃない……
きっと、命に関わる重い病に晒されている。
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