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四季折の羽:パロディ【もう一度だけ】
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喉が焼けて裂ける様な痛みが何日も続いた。
息を吸うだけで肺が軋み、胃からは液体が逆流して来るような感覚が絶えず俺を襲ってくる。
「ゔっぐっ、…」
喉までその生暖かい液体が湧き上がって来ると、その勢いで口から血が外へ吐き出された。
「はっ、は……」
あいつが折角綺麗に洗ってくれた布団が、また俺の血で赤く染まる。
申し訳ないな……またあいつに怒鳴られるかな?
吐くなら畳の上にしろって…数日前言われたばっかなんだけどなぁ。
「……っ…ゲホッ…」
ボタボタ、とまた血を吐き出してしまう。
胸から変な音が聞こえる。息をする度にその音だけが大きくなる。
「…はっ…、は…」
あいつ、まだ帰って来ねえのかな?
それとも、もう帰って来ねえのかな?
「っ…ゔっ……は、ぁ…」
駄目だ。もう目も開けていられねえ……
「…ぁ……た」
あいつの名前を呼ぶ事さえ、もう俺には出来ない。
ヒュー、ヒュー、と自分の胸から聞こえてくる音。
きっとこの音は、あいつを酷く不安にさせてしまう音に違いない。
「…は、……はっ……は…」
ごめん……新……
俺の為にいつもご飯食べるの我慢して、俺の為に毎日沢山走ってくれてくんだよな……
ごめんな……俺の為に泣いてくれたのに、俺は笑って誤魔化してばかりで……本当に…ごめんな…
「……………」
ああ……もう一度だけでもいいから、あいつを抱き締めてやりたかった。
もう一度だけでもいいから
『愛してる』と言いたかった。
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