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オレとおれ。その4
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おばさんに心配を掛けないように、学校で言われた事は何も話さなかった。元々おれは良く喋る子じゃなかったから、おばさんもおれが黙ってても何も言わなかった。
小さなお弁当箱と真新しい教科書を入れたランドセルを背負って毎日学校に通った。
でも、学校に着くとおれはすぐ意地悪な男の子達に囲まれて、授業が始まる前、校舎の裏に連れてかれた。ランドセルを取り上げられ、中に入ってるお弁当箱を取り上げられ、中身を目の前で地面に落とされる。
その日のお弁当箱の中身のおかずは、おれの大好きなミートボールが入っていたらしい。
地面に落ち砂まみれになるそれを見て歯をぐっと食いしばった。
でも、やめて。とは言えなかった。
落ちた白ご飯やミートボール、プチトマトに刻んだキャベツ。それ以上思い出せないけど、落ちた物を一つ一つ拾った。
「きったねえ!こいつ落ちた食いもん拾った!」
「口無しには食べ物なんかいらないだろ!」
「気味悪いんだよ!俺んちのお母さん言ってたぞ!お前んとこ借金返せなくてお母さん自殺したんだろ?」
「お父さんは逃げたんだろ?お前かわいそうだなあ!口無しで親無しじゃん!あははっ!」
「………」
ケタケタと笑い声が降ってくる。お母さんは自殺したんじゃない。お父さんは逃げたんじゃない。
間違った事を沢山言われてるのにそれでも俺は何も言い返さなかった。
今我慢すればいいだけの事だ。
お弁当の中身だって洗えば食べれる物はある。
「チッ、本当に喋らないぞこいつ。」
一人の男の子がおれの頭にグリ、と足を乗せた。
ここまでのくだりの後に起こる事、される事はもう分かってた。
いっぱいほっぺたを殴られて、髪の毛を引っ張られてお腹を蹴られる。
ボロボロになったおれを見て、先生は「また転んだの?」って言う。先生はきっとおれが虐められてる事に気付いてるけど、優しく気遣うフリをして見て見ぬフリをしてる。
いつも通りの流れだ。と理解をして、今日はどれくらい虐められるんだろうと冷静に考えておれは目を閉じた。
那央と出会ったのはこの頃だったかな?
「やめろよ‼︎」
ドス、とお腹を蹴られた瞬間にその大きな声が聞こえた。
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