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会長と日野 猫カフェデート その4
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「あっ、駄目だよそこは…っ……」
面白くない。
「ふふっ…もうイタズラっ子だなぁ」
……全然面白くない。
フリースペースで猫と戯れる恋人の背後で、椅子に座ってオレンジジュースを飲みながらぷぅっと頬っぺたを膨らませる。
店に来て一時間が経った。お茶しようって誘ったのにいっちゃんは猫と遊びたいって言って結局断られた。
「尻尾が折れてる……鍵っ子初めて見ました」
「本当ですか?ちなみに名前はキー君って言うんですよ」
「キー君」
「まんま過ぎますかね?……」
「いえ、響も良くて彼の凛々しい顔立ちによく似合う名前だと思います」
ほら、またそうやって……猫にフェロモン放って店員さんにもフェロモン振りまいて……
ちょっっっとだけデレデレし過ぎやない?
俺だって最初はいっちゃんと一緒に猫と遊びよったけんど、猫に嫌われちゅうか知らんめっちゃ引っ掻かれて退散せざるを得んかった。
「日野、この子成海に似てない?」
「ふぇっ」
ズイっと目の前に一匹の猫が差し出される。
「ほら、目の下にホクロがあるでしょ?」
白と黒の縞模様。いっちゃんが指摘した目の下のホクロ。
……よりも、この据わった目付きの方がナルにそっくり。
「ん、可愛いなぁ」
と、猫ナルの喉を撫でると鋭い爪で攻撃される。
「お客様っ」
「あたた……」
フゥーッと威嚇をする猫ナル。
引っ掻かれたのは右腕で結構本気でやられたらしい。
「日野……っ大丈夫?…」
赤くなる傷を見ていっちゃんはようやく猫を離した。
「申し訳ございませんっ…普段は大人しい子なのですが」
店員さんが駆け付けて右腕を差し出すように言われる。
すぐに消毒液と絆創膏を持って来ると言って店員さんは裏へ行った。
「腕見せて」
「お、おう」
するりといっちゃんの細い指が袖からゆっくりと入って来る。
心配してくれる時のいっちゃん可愛いっ‼︎
「ごめんね……ちょっとはしゃぎ過ぎた…」
「んーん。全然かまんで」
「日野が猫に嫌われてるなんて知らずに…ごめん」
……んん?
「血が出ちゃってる…もう店出ようか?」
「え、なんで?」
くぉら猫ナル。おまんのせいで誤解を招いたやないかい。
確かにいっちゃんに比べて俺は猫に好かれてないよ。けんどな、それでいっちゃんに謝られる意味が分からん‼︎
「だって…腕」
と、色々な考えが巡ったけんど、怪我させてくれてありがと。
猫どもに俺という存在を知らしめる良い機会や。
「大丈夫やってこんなのかすり傷や」
どうやー‼︎ 猫に翻弄されてもいっちゃんが戻ってくるとこは俺って決まっちゅうがやもん〜‼︎
おまんらは所詮今日限りの愛人ならぬ愛猫や‼︎
「そうじゃなくてっ」
「お客様‼︎」
猫どもを見下して心の中であざ笑ってやると、ちょうど救急箱を持った店員さんが戻って来た。
「あの、大丈夫ですからっ」
そして急に慌て始めるいっちゃん。
「手当をしないとっ」
「いえ僕がやりますから」
猫に気を取られて全然察する事が出来んかった。
どうしていっちゃんがこんなに慌て始めたのかを。
「私共の不注意が招いた事です…傷を見せてください‼︎」
「あっ」
「あ……」
バッ、と袖を捲られる。
そしてそこにあるモノを見て店員さんがフリーズした。
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