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傷と噛み跡/オメガバースパロディ【成海×新】1
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アルファだのベータだのと…そんなもの、俺には関係ない。
「なぁ、来週さ…東高の奴らとやり合うんだけど、お前来る?」
人が行き交う街の中。こうしてみればみんな同じなのに。
「行く」
「あー…やっぱり?」
中学卒業を控えた、まだ肌寒い季節の事。
ダチの秋人と俺を先頭に、その背後には綺麗に整列を成した不良の集団。
「やっぱりってなんだよ」
そのほとんどがベータ。
「いやほら…東高っているじゃん?」
「なにが」
「アルファ」
世の中は不公平だと誰かが言っていた。
けど、俺はそうは思わない。
「んなの関係ねえよ」
どんなものでもいい。自分を生かせられるものなら。例え人を傷つける行為であっても、アルファ、ベータ、オメガと言った三つの存在のそれぞれの価値を覆す事が出来るなら。
こうして、オメガである俺がトップになれたんだ。何も不公平な事なんてありはしない。
「でもよ、いつ来るか分かんねえじゃん?」
「あれ(発情期)の事なら大丈夫だ」
「そんなの分かんねえだろ?」
生まれた時から、オメガである俺はその存在事態が迷惑だの疫病神だのと蔑称され続けて来た。そんなもの言いがかりだと分からせてやる為に俺は強くなった。
オメガは定期的に発情期が来るらしいが、俺はまだ来ていない。アルファやベータを引きつけるフェロモンも、特に気にする事なく放ったらかしにしている。
「一応アレ付けとけよ」
「俺は犬じゃねえんだ。誰があんなモン付けるか」
例えその発情期とやらが来たとしても、自分の身くらい自分で守れる。
俺は他のオメガとは違うんだ。背中丸めて道の隅を歩いたりしない。
「はぁ~…わかったよ。まぁ何かあったら俺が守ってやるわ」
「要らねぇ」
「うわっ、可愛くねぇの!」
初めから決めつけられているこの世界の中で、俺たちは運命とやらに翻弄され、それぞれの価値を背負ったまま生きていくことになる。
俺はアルファは嫌いだ。でも、秋人は好きだ。俺を対等な人間として見てくれる。
オメガではなく、俺という一人の人間として。
初めは俺がオメガであると知って絡んで来たけど、こうしてダチになればこれほど一緒にいて心地いい奴はいない。
「んじゃ、来週の月曜日いつもの場所で待ち合わせなー」
「おう」
「ほら、お前らも解散解散」
てめえの価値はてめえで示せ。自分が強くあればこうしてアルファとも、ベータとも差別なく関係を築く事は出来る。
俺がやってきたことは間違いじゃない。と、この時の俺はそう高をくくっていた。
最悪な運命が待ち受けているとも知らずに。
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