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傷と噛み跡/オメガバースパロディ【成海×新】5
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俺の人生において、たった今野望が出来た。
あのくそ眼鏡くそアルファを負かしてやる事だ。その為にはまず生徒会を乗っ取らなければならない。乗っ取る為には、生徒会長からの信頼を得て、俺があのくそ眼鏡より使える人間だと思わせなければならない。
『渋谷くんが居れば百人力だよ。悪いけど使えないのはお前だよ成海』
『な、待てよ! 樹っ』
王座に居座る俺の傍らには俺に靡く会長。そしてその目の前で無様に地に這い蹲って醜態を晒すくそ眼鏡。
「くくっ」
カァーッ! あいつの泣き喚く面を想像するだけで白飯三杯いけるわ〜。
たかがアルファって肩書きがあるだけで威張り腐れるのも今のうちだ。
「失礼しまぁーす!」
眼鏡撃沈までのスケジュールを立て上機嫌なまま生徒会室に入る。
「あ、来てくれたんだね」
出迎えてくれたのは、山積みになる紙の束を両手に抱えた生徒会長。どうやら“奴”は居ないらしい。
「会長、手伝いますよ!」
早速計画を実行するべく、会長の元へと駆け寄る。
「ありがとう。でもこれはもう済んだから大丈夫だよ」
よいしょ、っと呟き会長は山積みになったその書類を持って扉の方へと歩いて行く。
「あ…そこの書類を三部ずつホッチキスで留めておいてくれないかな?」
「えっ」
何やら生徒会室を出て行こうとする会長が、退出間際に俺に任せた仕事。
机の上を指差され、そちらを見てみるとこれまたズラリと大量に並べられた書類の山。
「こ、…」
これ、全部か?
「ごめんね…入ったばかりで色々と教えてあげたいんだけど…今ちょっと忙しくて」
「全然平気ですっ」
って、駄目だ駄目だ。面倒くさいって顔に出すな。
こんな雑用、屁でも無いわ。生徒会長からの信頼を得なければ眼鏡撃沈の計画が成立しない。
小さな一歩が大きな結果を呼ぶんだ。ここは我慢我慢…
「ありがとう」
「っ…」
ふわりと見せた、生徒会長の笑顔。
思わずドキッとしてしまった。
「僕、このあと少し会議があるから…見切りの良いところで帰って良いからね」
「は、はい」
軽く頭を下げると、生徒会長はまた柔らかく微笑み生徒会室を後にした。
……そう言えば、生徒会長もアルファ…だよな?
理事長の息子で、どんないけ好かねぇ奴かと思ってたけど……
「…普通に良い奴じゃん」
他の生徒から批判されるのを分かってて、オメガの俺を生徒会に誘うなんて。
いや…もしかしたらあれは俺を騙す為にワザと優しい顔を振り撒いているのかもしれない。
会長だってアルファだ。気を許した瞬間、俺を襲うに決まってる。
「………でも…あの人からは匂いがしなかった」
こんな限られた空間の中で二人きりだったのに。アルファがあんなに近くにいたのに、あの人からは何も……
「チッ」
考えていると、不意にあのくそ眼鏡が頭の中で俺を見下しながらあざ笑った。
思い出したくもねぇあんな奴の顔なんて。
そう思うのに、あの時感じた感覚を体がしっかりと覚えていて…また胸がジクジクと痛む。
「気色悪…」
怒りとこの変な胸のジクジクを目一杯ホッチキスで発散する。
あのくそ眼鏡は仕事放ったらかして何やってんだ。くそがこれ全部俺一人で終わるわけねぇだろが。
「っ……」
パチン、パチン、パチン、と黙々と書類をまとめていると、生徒会室の扉が開いた。
「あれ、会長どうしたん…」
会長が出て行って数分も経っていなかったから、忘れ物かな?と思い振り向くと、バサバサと手から書類が零れ落ちた。
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