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18歳以上ですか?
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嘘、本当・・・・・
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どうしよう
でも、こいつの目は真剣で
「楓、どうしました?」
「和海」
「その方は?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
どう説明すればいいのか・・・・・
とりあえず和海を無言で見つめていた
「はじめましてー、紅陽いいます」
「紅陽さん?」
「彼、紫陽に会いに来たって・・・・で、紫陽の兄だとか」
「えっ?」
そうなるよね
俺だってまだ半信半疑だし
「二人共同じ反応するんやねー」
「紫陽のお兄様・・・・ですか」
「せやで」
「う~ん」
「で、あんたはんは?」
「失礼いたしました、私はこういうものです」
そう言って1枚の名刺を渡した
どうやら和海も興味があるみたいだ
名刺を見ながらそいつは言った
「へぇーーー!社長さんですのん?」
「ええ」
「なら話が早いわ、紫陽に会いたいんやけど」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「はぁ、一体どうすれば信じてもらえますのん?知っている事なら何でも話しますさかい」
「では、私の会社にお越し下さい」
「しゃーないな」
「楓」
「うん」
こうして俺達は、和海の会社に向かった
まだ和海も信用していないみたいだ
「どうぞ」
「はぁーーー!さすが社長室やなーー」
本当に兄弟?
性格が正反対だけど
ソファーに座り、笑顔で部屋を見渡していた
「では、申し訳ありませんがお話を」
「またかいな・・・・しゃーないな」
そう言って、俺に話したように和海にも同じ話をした
もしこの話が芝居だとしたら、相当な役者になれそうだ
そんな事を考えながらぼんやり窓際のダリアを見つめていた
「話はわかりました」
「そうか?」
「しかし、確証がありません」
「あーーーっ!もうどうしたらいいのんや?」
「まず、貴方の事を少しお尋ねしても?」
「ええよ」
「今はどちらにお住まいですか?」
「中学卒業してから職を転々として、今は関西で特効の仕事をしてるんよ」
「特効?」
「そうや、俺は弟と違ってギターの才能はからっきしなんやけど、いつか弟に会えるかもしれへんと思って始めた仕事でな、やっているうちにそれが面白くなってな」
「成程」
「ちなみに音響も出来るでー」
「では、今はずっと関西で?」
「いや、その会社が突然倒産してな・・・・・どうせなら東京で仕事を探そうと思ってたんやけど、なかなか厳しいものがありますなぁ」
「そうでしょうね」
「でも、せっかくの機会やし、弟にも会えるかもしれへんやろ?」
話を聞きながら、ずっと気になっていた事をそいつに言ってみた
「ねぇ」
「なんや?」
「普通に話せないの?」
「話せるで」
「そのおかしな関西弁は耳障り」
「きっついなー!」
「じゃ、言い方を変える・・・・・その関西弁は腹が立つ」
「うちは仕事でいろんな場所にいったさかい、いろんな方言が混ざってしまったんよ」
「いいから普通に話して」
「はぁ・・・・・そのへんで許してくれないかねぇ・・・・」
「えっ?」
嘘・・・・・・
紫陽とこいつがダブって見えた
「どうしても普通に話すとこんな話し方になるんだよねぇ・・・・」
「・・・・・・・・・・・そっちの方がいいよ」
「そうかい?じゃそうする事にしようかねぇ」
話せば話すほど紫陽とこいつが重なる
どうして・・・・?
「和海、話を」
「はい・・・・では次は貴方の知っている限りの事をお尋ねしても?」
「いいよ」
「母親の名前は?」
「ああ、知ってるねぇ」
「よろしければ」
「もちろんさ」
紅陽はそう言って母親の名前を教えてくれた
「申し訳ありませんがまた明日こちらにいらしていただけませんか?」
「どう言う事だい?」
「申し訳ありません」
「はぁ・・・・・わかったよ」
「今はどちらに?」
「仕事が見つかるまではネカフェかサウナだねぇ」
「では、今日は私が用意したホテルへ」
「ホテル?」
「はい」
「嬉しいねぇ、久しぶりに眠れそうだ」
「今からホテルまで案内させますので」
「ああ、じゃまた明日」
「はい」
そう言って、素直に部屋から出て行った
俺は少しだけ動揺しながら和海を見つめた
「驚きました」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「兄弟どうのではなく・・・・・」
「俺もだよ・・・・・・紫陽が生き返ったのかと思った」
「ええ」
そう
あの話し方
まるで紫陽と話しているみたいな錯覚に陥った
「では、早急に調べてみますので・・・・・スタジオに戻られますか?」
「ここにいる」
「わかりました、少し時間がかかりますが」
「いい」
「はい」
俺だって知りたい
本当に兄弟なのかを
だから和海を待つ事にした
ソファーに座り、色々な事を考えていた
紫陽が何も言わなかったのは、やはり信用していなかったからだろう
友達をわざわざ人に教える奴じゃないしね
でも・・・・もし本当に兄弟だとしても
もう紫陽に会わせる事は出来ない
だったらこのままもう会わないほうが・・・・・・なんて考えてしまった
和海が用意してくれたプリンも食べたくない
今は早く結果が知りたい
「特効か・・・・・・」
紫陽と同じ血が流れているのなら、音響のセンスも同じかもね
そして月が傾きかけた頃、和海が戻って来た
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