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「来ましたね」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
そして扉をノックする音が聞こえた
「どうぞ」
「こんばんは、いやぁ~昨日は久しぶりによく眠れたよ」
「よかったです」
「あんな豪華な部屋を用意してもらってすまなかったねぇ」
もうおかしな関西弁を使っていない
でも、そのかわりに紫陽と同じ話し方
「しかし、昨日はびっくりしたねぇ・・・・突然医者が現れるなんてさぁー」
「申し訳ありません」
「いやいや、これではっきりするのなら採血ぐらい・・・・それでどうなんだい?」
「結果が出ました」
「そうかい・・・・ちょっと待っておくれ・・・・心の準備がねぇ・・・・うちは信じているけどどうしてこんなにドキドキするんだろう」
そう
紫陽と違うところは一つだけ
私とうちの違いだけ
「もし、兄弟じゃなかったら紫陽には会えないのかい?」
「まずは結果を」
「わ、わかった・・・・・言っておくれ」
「まずはこの写真です」
「写真?」
「はい」
そう言って昨日撮った写真を見せた
「姉さんと紫陽とうち?」
「はい」
「貴方がおっしゃった通り、同じ場所に痣があります」
「ああ、今は薄くなってしまったけどねぇ・・・・・」
「しかし、これだけでは確信が出来ないのでDNA鑑定を」
「そうかい」
「この報告書にはこう書かれています・・・・・・DNA鑑定の結果、ほぼ兄弟に間違いないと」
「・・・・・・・・・・・・・・はぁ、よかった・・・・本当に嬉しいねぇ」
「本当に申し訳ありませんでした」
「いいのさ、仕方が無い事だしこうして証明出来たんだから紫陽にも説明出来る」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「それで、紫陽にはいつ?」
「ここまで疑うには理由がありました・・・・では事実だけをお話いたします」
「ああ」
そして、和海は紅陽に全てを告げた
「・・・・・・・・・・・・そん・・・な」
今にも倒れそうな紅陽は、悲しそうに俯いてしまった
「姉さんだけではなく・・・・弟まで・・・・・もうこの世にはいないのかい・・・・・それはあんまりじゃないかっ・・・・・なんでもう少し早くうちはっ・・・・クソッ!」
何も言えないまま、ただ紅陽を見つめていた
そしてノックが聞こえた
「どうぞ」
「社長、来月のDahliaのスケジュールですけど・・・・・あっ、お客様が・・・申し訳ありません」
心・・・・・・
「このままそこに」
「えっ?」
心は意味がわからないと言った表情をしていた
「すまない・・・取り乱してしまって・・・・・ありがとう、兄弟だと言う事がわかっただけでも嬉しいと思わないといけないねぇ・・・・」
「紫陽さん?!」
やはり心も紫陽の影が見えたんだね
「えっ?」
その言葉で振り向き、心を見つめた
「ご、ごめんなさい・・・・・」
「紫陽を知っているのかい?」
「・・・・・・・・・・・・・あの」
戸惑う心に俺が説明した
「心、彼は紫陽のお兄さんなんだ」
「えっ・・・・・まさか」
「紫陽も事実を知らなかったみたいだから聞かされていなくて当然だね」
「紫陽さんの・・・・・・・・お兄さん」
「君は?」
「えっ・・・・・僕は・・・」
「話すかどうかは心が決めるといい」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
少しだけ考える素振りを見せた心は、小さく頷いて答えた
「はじめまして、僕は心と言います・・・・・紫陽さんとお付き合いをしていました」
「えっ?」
心は事実を告げる方を選んだ
「心は最後まで紫陽の傍にいたんだ」
「・・・・・・・・・・・そうかい、紫陽の・・・・」
「ごめんなさい、紫陽さんからはお兄様の話は聞かされていませんでした・・・そして恋人が僕でごめんなさい」
「どうして謝るんだい?紫陽が選んだ人なんだろ?」
「でも」
「男だろうが女だろうが関係ないじゃないか・・・・・惹かれあった者同士なんだから」
「はいっ・・・・・あの、もしよろしければ紫陽さんにお線香を」
「ああ、そうさせてもらうよ」
「大袈裟な仏壇はありませんが」
「そんな事はどうでもいいんだ・・・・要は君の気持ちの問題さ」
「はい」
「じゃ、うちは線香をあげたら消える事にするよ・・・・本当にありがとう」
やはり・・・・・
「申し訳ありませんが少しお話をしたいので今夜は同じホテルで休まれて、明日もう一度こちらへ来て頂けませんか?」
「話?」
「はい」
「わかった、貴方達には本当によくしてもらったしねぇ・・・・明日寄らせてもらうよ」
「お待ちしております」
「ああ」
「それと心」
「はい」
「今日はもう戻らなくてもいいですよ」
「えっ?」
「車を用意させましたので」
「はい、では失礼します」
「じゃ、また明日ねぇ」
二人が出て行った後、今頃になって心配になってしまった
心は大丈夫だろうか
「少しでも思い出話が出来ればいいですね」
「・・・・・・・・・・・・・・・うん」
そうだね
俺達よりも紫陽の事を知っているのは心だった
思い出して悲しくならないかと心配だったけど、心の強さに賭けよう
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