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怪我をしてしまった事は隠しきれないと思った
帰りのタクシーの中でしばらく考え、やはり楓さんに連絡する事にした
でも、その前に・・・・・
「紅陽さん、お願いが」
「お願い?」
「この怪我なんですけど、僕が自分で転んだ事にしていただけますか?」
「どうしてだい?」
「それは・・・・・もし本当の事を話せば楓さんが」
きっと暴れるにちがいないと思った
「わかった、何も言わないよ」
「ホントですか?」
「ああ、正直な心がそこまでして隠したいのには何か理由があるだろうしねぇ」
「ごめんなさい」
「うちは何も見ていなかった・・・・それでいいかい?」
「はい、本当に申し訳ありません」
「気にしなくてもいい」
そう言って、また頭を撫でてくれた
紫陽さんも、よく頭を撫でてくれたっけ
何となく撫で方も似ているような気がする
そう、すごく安心出来るような撫で方
そしてマンションに戻り、先に楓さんに連絡する事にした
「紅陽さん、どこの部屋を使いますか?」
「そうだねぇ・・・・一番狭いところで」
「えと、広さは同じなので・・・でしたら日当たりのいい僕の部屋の隣はいかがですか?」
「ああ、じゃそうする事にするよ」
「わかりました、掃除はしてありますので荷物を置いて少し休んで下さい」
「わかった」
「他の部屋も自由に入ってもらっても結構ですが、玄関から一番近い部屋は物置になっていますので」
「了解だ」
「では、僕は部屋で電話を掛けてきます」
「ああ」
廊下で別れ、自分の部屋に戻り携帯を取り出した
怪我はまだ麻酔が効いているのか痛みは余り感じないけど、麻酔がすごく痛かったのは覚えている
溜息をつき、楓さんに電話をかけて事情を説明する事にした
電話で・・・・・のつもりが、家に来ると言われすごく困ったけど仕方が無い
きっと心配してくれているんだろうしね
そして・・・・・・・
「心君、誰か来たみたいだけど」
「はい、楓さんが」
「心配なんだろうねぇ」
「あのっ!」
「ああ、わかってるよ」
「はい」
そして玄関の鍵を開けた
「心、怪我はどうなの?」
「はい、ごめんなさい・・・ぼーっとしてて転んでしまって」
「そう・・・・・・・ホント?」
「はい」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
うっ・・・・・
この無言が怖い
でも、もしばれたら絶対に仕返しに行くに違いない
「僕を信用してください!本当に転んだんです・・・・紅陽さんが遅いから心配になって駅まで全力疾走したら急にネコが・・・・それで避けようとして」
「わかった、信じるよ・・・でも、今週は休んでね」
「えっ?仕事は出来ます」
「紅陽も今週まで休みだから色々と手伝ってあげてね?出来る範囲でいいから」
「わかりました」
「じゃ、これはお見舞い・・・・紅陽、渡しそびれた書類が車にあるから取りに来てもらってもいいかな?忘れちゃった」
「ああ」
「じゃ、今日は安静にね」
「はい、みなさんにもご迷惑をおかけして申し訳ありません」
「気にしない」
そう言って紅陽さんと部屋を出て行った
「プリン・・・・・じゃなくてケーキだった」
少し苦笑しながら冷蔵庫にケーキの箱を入れた
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