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今日は久しぶりにイオと外食した
「美味しかったね」
「だな~」
イオも俺も帽子をかぶって髪を押し込めているから誰にも気付かれていない・・・はず
遠巻きに見ている人達もいるけど、囲まれる事はない
多分、似てるけど~とかまさかこんな人混みにいるわけないよね~とか言われているんだろう
俺達が気にしなければ大丈夫だな
「あっ!」
「な、何だよ急に」
「ほら、あそこのカフェ」
「カフェ?」
新しく出来たところか
へぇ・・・・えっ?
「えっ!」
「びっくりだね」
「だな・・・・でも心も元気そうで安心した」
「そうだね」
窓際に向かい合わせで座っている二人を見つめ、何となくだけど複雑な気分になった
でも、心は楽しそうに話をしているし安心するべきなんだよな
「・・・・・・・・・・複雑?」
「何だろう・・・・変な意味じゃないけどさ、う~ん・・・少しだけな」
「でも、買い物に来ただけだと思うよ」
「まぁな」
確かにそんな感じだな
荷物が置いてあるし
「でも、こうやって見ていると何だか紫陽さんが戻ってきたみたい」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「楓から話を聞いて少し驚いたけど、似てるよね」
「だな」
「どうしたの?」
「いや・・・・帰ろう」
「えっ・・・・・うん」
心が元気になるならそれでいいと思う
でも・・・・・・なんてかな
家に戻って来ても何となく気分がな・・・・・
「葵、どうしたの急に黙り込んで」
「何でもない」
「嘘」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「何か考え事?」
「・・・・・・・・・・・いや」
説明出来ない感情だから何でもないと言うしかない
そのまま家に戻り、煙草を持ってベランダに出て火をつけ夜景を見つめた
禁煙してたけど、吸いたい時もある
「はい、灰皿」
「イオ・・・・ごめん」
「いいよ」
「怒らないのか?」
「楓のプリン中毒よりはいいでしょ?」
「そっか」
隣にいるイオの体温が伝わる
こいつは俺がナーバスな時は必ず傍に来て俺が話し出すのを待っている
そんなイオの肩を抱きしめながら今度は無言で空を見つめた
「紫陽さんがいなくなって、突然紅陽さんが現れた」
「うん」
「そして今は心のところにいる」
「だね」
「人の心は変わるものなのか?」
「どうだろうね・・・・・その人にしかわからないんじゃない?」
「もし、俺が死ぬ前に忘れないで欲しいと言ったら?」
「だったら死ぬなと言うね」
「ははっ・・・・そか」
「思うんだけどさ、愛した人の事は忘れろと言われても忘れる事は無いと思う」
「うん」
「俺もそうだよ・・・・死ぬ前に葵に同じ事を言うかも・・・・でも、その言葉に縛られて欲しくないと言う気持ちもあって複雑かも・・・・葵が他の誰かを好きになるなんて考えたくない、でも傍にはいてあげられない辛さもあるし」
「複雑だよな」
「でも、人間は傍にいてくれる人が必要だとも思う」
「うん」
「心はどう思っているのかはわからないけど、少なくとも悲しみは減ったんじゃないかな」
「だといいな」
「葵は俺よりも紫陽さんの事を知っているから余計に複雑なんだよね」
「愛する人を残して消える気持ちってさ」
「うん」
「耐え難いほど辛いと思う」
「そうだね」
「俺には耐えられないかもな」
溜息をつきながら煙草の煙を吐き出した
「もし・・・・もしもだよ?」
「うん」
「そうなったら俺も着いて行くよ」
「・・・・・・えっ?」
「誰かに怒られても悲しませてもいい・・・・・俺は必ず後を追うから」
「イオ」
「もちろんみんなの事も大事・・・・でも葵はもっと大事な人だから」
「じゃ、何が何でも死ねないな」
「だよ?」
「ああ」
参ったな
そんな風に思ってくれていたなんてね
普段言わない事をこういう時に言われるのは反則に近いけど、それほど重い言葉だからこういう時に言うんだろうな
「はい、もうおしまい」
「あぶっ!!火傷するぞ」
くわえていた煙草を奪い取り、揉み消しながら言った
「お風呂・・・・一緒に入ろうか」
「えっ?」
「い、嫌ならいいし!」
「いやいや!嫌なわけないし!」
「じゃ、もう中に入ろう」
「だな・・・・・イオ」
「ん?」
後ろからそっと抱きしめながら言った
「サンキューな」
「・・・・・・・ばーか」
今回もイオに元気をもらった
こういうのって、お互いを知らなければできない事だと実感した
「やっぱり一人で入ろっと」
「だーめ!行くぞ」
「うん」
もう考えるのはよそう
決めるのは心自身だしね
きっと、紫陽さんも心の幸せを願っているはずだ
そうだよな?
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