アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
戻ってきたのはいいけれど
-
怪我は大分よくなっていた
抜糸はまだだけど、無理をしなければ仕事は出来る
「じゃ、頑張って下さいね」
「ああ、心も無理をするんじゃないよ」
「はい!」
紅陽さんと会社で別れて、久しぶりに自分のデスクに近付き思わず苦笑した
「あはは・・・・・」
そんな予感はしてた
デスクの上にはメモと書類の山
椅子に腰掛け、まずはメモに目を通した
「楓さんが嫌がる仕事は入れられないからな・・・・・」
でも、最低限の仕事はしてもらわないといけないし頭が痛い
マスコミ関係は特に嫌いだからTVの依頼は引き受けられないな
後は・・・・雑誌関係か
最近はファッション雑誌からも依頼が来るけど、無理だな
もしこれがゆるきゃら特集とかプリン特集なら引き受けるんだろうけど、来ても僕が先に断らなければいけないし
「写真集?」
絶対無理かも・・・・・
大人しく撮影してくれないだろうし
「これは・・・・・」
お気に入りのアクセ特集のインタビューか
でも、楓さん一人では心配だし華さんにも同じ依頼が来ているからこの仕事は進めてみよう
「盆栽教室?」
何で楓さんが盆栽好きな事を?
と言うか教育番組だから無理だな
「アルバムの撮影もあったんだ」
スケジュール表を何度も確認して、何とか今月の仕事の調整をした
「・・・・・・・・・・・・紅陽さん、大丈夫かな」
でも、彼ならきっとみんなとうまくやれるはず
「心」
「楓さん?」
「やほ!はい、少し早いけど」
「えっ?」
「快気祝い?」
「えと・・・・・」
「昨日のTVでやってたから」
「そうですか、ありがとうございます」
「ふふっ」
快気祝い・・・・
嬉しいけど確かにまだ早いかも
でも、楓さんらしいや
「盆栽教室・・・・・」
「あっ!それは」
「仕事?」
「いえ、どうしてこんなものが紛れ込んだんでしょう・・・・あはは」
「違うの?」
「はい、ごめんなさい」
「そう」
危なかった
でも、こんな書類の中からよく見つけ出したな
さすがだ
「ところで今日は?」
「うん、心と紅陽の様子をね」
「そうですか、ありがとうございます」
「じゃ、またね」
「はい」
快気祝い・・・・・
一体何をくれたんだろう
ものすごく気になったので開けてみる事にした
大きさからしてカップみたいだけどすごく軽いし、あの楓さんだしな
綺麗な包装紙を丁寧に剥がして箱を開けた
「んん?」
何だろう
タオル?
「為になる親父の一言?」
何か文字がたくさん書いてある
「足は交互に出してあるくべし」
当たり前の事だけど何だか面白い
「バナナの皮に気をつけるべし」
今時バナナの皮で転ぶ人なんているのかな
「毎朝乾布摩擦をするべし」
なにそれ?
聞いた事はあるけど
「早寝早起きをこころがけるべし」
あ~、確かに不規則だからな
「常に恋をするべし」
ん?
と言うか、為になるのかな?関係ないような気もするけど
他にも当たり前だけど頷ける言葉がたくさん書かれていた
「さすれば自分を大切にしようという気持ちになるであろう・・・・・」
成程
確かにそうかも
最終的には自分を大切にすれば怪我もしないしね
と言うか・・・・どこから探して来たんだろう
でも、ありがたく使わせてもらおう
「ん?」
あれ・・・・まだ何か入ってる
「嘘・・・・・マジで?」
お洒落なダイアのタイピンがそのまま入っていた
気が付かなかったら捨ててしまうところだった
「高そう・・・・・どうしよう」
すごく気に入ったけど快気祝いにしては高すぎる
楓さんだからフェイクじゃないだろうし
あっ、楓さんだ
急いで椅子から立ち上がり楓さんの傍に駆け寄った・・・・・
「うわっ!」
「危ない」
「あ、ありがとうございます」
「大丈夫?」
「はい」
誰だよ!!
床にバナナの皮を捨てたのはっ!!!
親父の一言がすぐに役立つなんて・・・
「どうしたの?」
「あっ、これなんですけど」
「うん」
「こんなに高価な物は」
「じゃ、捨てていいよ」
「そうじゃなくてですね!」
「それを見つけた時、心によく似合いそうだと思ったから・・・・」
「楓さん」
「それだけだよ」
「ありがとうございます、本当はとても気に入りました」
「よかった」
「大切に使わせていただきます」
「うん」
「紅陽さんはどうでした?」
「普通かな」
「そうですか、よかった」
「じゃ、行くね」
「はい」
うまくやってるみたいで安心した
僕も頑張らないとね
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
88 / 473