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暗い部屋の中、イオの泣き声だけが響いていた
明かりをつけると怒るので、落ち着くまで待っていたけど、かれこれもう2時間泣いていた
「イオ、もう泣くなって」
「うるさいっ!」
「はぁ・・・・・・」
楓にはバレるとあれ程言ったのに、俺はイオのお願いに負けて怪我を隠す協力をしためど、やはりバレてしまった
「楓はお前の為に辛い決断をしたんだからさ」
「聞きたくないっ!もう黙れ!」
「イオ・・・・・・」
「こんなの大した怪我じゃないのに・・・・・楓だって今まで怪我をしてもやって来たのに、なのに俺の時はメンバーから外すなんて・・・・ううっ・・・・」
「だから、指の為だろ?無理をしてギターが弾けなくなったらどうするんだ」
「うるさいっ!!」
駄目だな
俺までイライラしてきたし、このままでは喧嘩になってしまう
「少し出掛けて来る」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「お前も少し冷静に・・・・・」
「さっさと行けよ!」
「わかった」
イオの気持ちもわかるけど、どうして楓の気持ちがわからないかな・・・・・
仕方なく、玄関を出て溜息をついた
とは言っても、行くあては無いしどうしようかな
飲みたくはないし、ずっと歩いているのもな
「スタジオでも行って時間を潰すか」
この時間なら誰もいないだろうし、2時間ぐらいなら何とかなりそうだ
そのままスタジオに向かい、裏口から中に入った
さすがに深夜のスタジオは不気味だな
「ん?」
まだ誰かいるのか?
ギターの音が聞こえる
あれ・・・・このギターは
聞き覚えのある音色ですぐに気付いた
でも、こんな時間まで何をやっているんだ?
そっとスタジオに向かい、ドアの窓から中を覗いて驚いた
「いっ・・・・」
マジかよ
指から血が出てるし、そこまでして・・・・・・・
正直、楓の腕なら楽勝だと思い込んでいたけど、こんなに遅くまで練習していたなんて
指から血が出ていても弾き続ける楓の気持ちが何となく理解出来た
「おや、また怪我をして」
「和海さん」
驚いた・・・・・どこから現れたんだ?
「話は心から聞きました」
「そうですか」
「華は荒れていますか?」
「まぁ・・・でも大丈夫です」
「楓は天才だと言われていますが、天才ならこんなに遅くまで練習はしません」
「ですね」
「努力して天才になった・・・と言っても過言ではありません」
「そうですね」
「メンバーを外すと言う決断をした楓が一番辛いかも知れませんね」
「えっ?」
「楓はメンバーを外されると言う経験を何度もしていますから」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「そして今のメンバーにめぐり合えた事を、本当に喜んでいたのですよ」
「そうですか」
「だから尚更、長く続けて行く為に今回は華を外したのだと思いますよ」
「はい、俺もそう思っていました」
「そうですか」
「じゃ、帰ります」
「はい」
軽く挨拶をしてスタジオを出た
「努力した天才か・・・・・確かにそうかもな」
外に出て、空を見上げながら呟いた
「イオの好きなケーキでも買って帰るかな」
何だか、楓を見ていたら吹っ切れたような気がする
イオはまだ泣いているかも知れないけど、俺が何とかしなきゃな
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