アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
-
今日は定時に帰る事が出来た
でも、何となく帰りたくないかも・・・・・
玄関の前で何分こうして佇んでいるんだろう
「ダメダメだなっ!」
自分の頬を両手で叩き、玄関を開けた
「ただいま」
「お帰り、今日は早かったねぇ」
紅陽さんはもう帰っていた
わかっていたけど、会話が出て来ない
「丁度よかった、今夜は鍋にしようかどうしようか悩んでいたんだ」
「いいですね、鍋」
「じゃ、今夜はそうしよう」
「着替えたら手伝います」
「ああ」
紅陽さんはいつもと同じ
当たり前か・・・・・
紫陽さんにただいまの報告をして、そのまま写真を見つめた
写真の紫陽さんは何も言ってくれない
抱きしめてもくれない
そんな事考えた事もなかったのにね
ずっと一人だったら、考えなくても済んだのかな
「・・・・・・・・・・・・はぁ」
もう考えるのはやめよう
考えても仕方が無い
そのまま立ち上がり、部屋着に着替えてリビングに向かうと、紅陽さんがキッチンでまた悩んでいた
「どうかしましたか?」
「いや、せっかくの鍋だし知り合いも呼んであげたいな・・・とね」
「知り合い・・・ですか?」
「いや、いいよ・・・ここは心の家だし変な事を言ってすまなかった」
「いえ」
「今日、ランチを一緒に食べた子なんだけどねぇ・・・一人暮らしをしていて鍋が好きだけど一人だから作れないと言っていたのを思い出してね」
「そうなんですか」
きっと彼の事だろう
でも、何となく彼が紅陽さんとどんな話をするのかが知りたいと思ってしまった
知ったところでどうしようもないのにね
「だったら呼んであげては?」
「えっ?」
「僕は構いませんよ?ここは紅陽さんの家でもありますし、鍋は人数が多いほうが美味しいですし」
「そうかい、ありがとう」
「じゃ、先にお風呂に入って来ますね」
「ああ」
笑顔で紅陽さんを見つめ、そのままバスルームに向かった
「嘘つき・・・・・」
ポツリと呟いて、鏡を見つめた
心にもない事を言っている自分がすごく嫌だった
でも、断る理由はないし・・・・・
違う
本当の理由は違う
ホントに僕はなんて嫌な奴なんだろう
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
93 / 473