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溜息をつきながら歩き出した紅陽の背中を突いてみた
「うおっ!」
「やほい!」
「楓かい?」
「プリン食べない?」
「えっ・・・」
「寒いし」
「そうだねぇ、じゃそこのカフェに」
「そこにはプリンがないから向こうのカフェで」
「ああ」
駅前は目立つので、少し離れたカフェまで足を延ばした
ここは意外とお客が少なくていいね
場所的にこの時間は暇なのかも
プリンとコーヒーをオーダーして紅陽を見つめた
「ところでどうしたんだい?仕事だったのかい?」
「プリンを買いに」
「プリン?」
「うん、ところで紅陽は何をしに?」
「うちは泉を送りに」
「泉?」
「今日のお昼に話していた子だよ」
「へぇ、じゃ今まで二人で?」
「いやいや、家に招待したんだよ」
「招待?」
「鍋をやるから呼んだのさ」
「鍋」
「一人暮らしではなかなか出来ないしね」
「そうだね」
鍋・・・・
最近和海はやってくれない
プリンを入れてからやってくれない
そして生クリームの上にチェリーが乗ったプリンとコーヒーが運ばれて来た
ここのプリンは好き
シンプルだけど生クリームが美味しいしね
「心とは仲良くやれそう?」
「ん?」
「気になったから」
「ああ・・・・・」
やはり何かあるのかな?
その表情は明らかに何か悩んでいるみたいだし
「仕事で何かあった?」
「いや、仕事とは関係ないねぇ」
「そう」
「じゃ、彼に告白でもされた?」
「えっ・・・」
当たりか
素直すぎる
「いや、告白と言うか・・・うちはまだ仕事も満足に出来ないかも知れないのに恋愛とかまでは考えていなかったからさ・・・・でも告白じゃないと思うよ・・・・・多分」
「確か彼は、紫陽と仲がよかったような」
「ああ、どうやら紫陽の事がね」
「そんな感じだったね」
「知っていたのかい?」
「紫陽と話している時の表情を見ればね」
「そうかい」
「打ち上げとか来てたから」
「成程ねぇ」
「もし、彼が先に紫陽に気持ちを伝えていたら・・・・・なんて前はたまに考えたりしてた」
「嫌われたくないから何も言えなかったんだろうねぇ」
「かもね・・・・・同性の場合、友人と恋人は難しい境界線だし一歩間違えれば仕事も辞めなければいけなくなるかも知れないしね」
「そうだねぇ・・・相手にその気が無ければどうしようもないし変な噂まで立つかも知れない」
「でも何も言えなかった結果、紫陽は心と付き合う事になってしまった」
「そうだね、心もいい子だからねぇ・・・・」
「ホントにそう思ってる?」
「・・・・・・・・・・・・・そのじと目で見るのは止めてくれないか?」
「心はいい奴だよ・・・それは俺が保障する、でもね」
「ああ」
「そこに恋愛が挟まれたらどうなるかなんて分からないよね?」
「難しいねぇ」
「言いたくない言葉も、つい言ってしまうかも・・・・・いけないと思っていてもね」
「そうなんだよねぇ・・・・一体今日の心はどうしてしまったんだろうねぇ・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「いや、何でもない」
成程ね
それって喜ぶべきなのかな
俺にはわからない
「紅陽って今好きな人とかいないの?」
「今の環境に慣れる事で頭が一杯一杯さ」
「今はそうかもね・・・・でも慣れたら?」
「ん~」
今はお互い同じラインらしい
心も彼もね
でも、同居している心の方が、若干有利かな・・・・・
「わからないねぇ・・・・恋人を作りに出てきた訳じゃないしねぇ」
「だね」
「でも、うちは押しに弱いから・・・・」
「へぇ」
「・・・・・・・・・・いや、その押しじゃなくて」
「知ってる」
指で押したらよろけてしまった
そんなに強く押してないはずなのにな
「でも俺が口出しする事じゃないし、今後困った事が起きたらいつでも相談にのるよ」
「ありがとう」
「でも、心は俺達にとって大切な仲間だからさ・・・・・泣かせたりしないでね」
「そんな事はしないよ」
「これから先の事はわからないでしょ?」
「喧嘩とかかい?」
「ん~、板ばさみかな」
「えっ?」
「なーんてね」
何となく分かったからもういいかな
多分、さっき彼に告白ではないけれどそんな事を言われたんだろう
そして心は彼をよく思っていない
どうして・・・?
多分、心も悩んでいるのかもね
心が傾いている自分に戸惑いながら今頃悩んでいるに違いない
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