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野次馬 対 俺
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突然だが、俺は英語が嫌いだ。
どのくらい嫌いかというと、母親が仕事でアメリカに渡らなければならないという状況に陥った時、意地でも日本に残ったくらいには嫌いだ。
なぜと聞かれると困るが単純にわからない。
日本語じゃない言葉を今から覚える知る喋るなんて無理だ嫌だお断りだ。
だが決して成績が悪いわけではない。
授業なんて真面目なふりしてノートさえ提出すれば問題ない。
テストなんて授業で言われたことしか出ないんだ。
勉強もクソもない。
そんなわけで俺は、高校二年生にして夢の一人暮らしを満喫中だ。
父親ははやくに亡くしていないけど、母さんは元気に外国を満喫しながら働いている。
兄弟はいないけど友達はいる。
不満は何もない。
俺は幸せなんだ。
キンコンカンコンとチャイムが響く。
今日の学校は終わりだと全力で伝えてくれている。
今月の掃除当番がけだるそうに机を後ろへ運んでいるのを横目に、俺は部活へと急いだ。
俺の部活。それは、
ブック○フ立ち読み部。
部員数一人。
部長俺。
活動内容、立ち読み。
学校とマンションとのちょうど中間地点にあるそこに自転車をかっとばす。
勝手に部活にしているくらいだから、俺はこの時間を相当楽しみにしている。
つまり大好きだ。むしろ大好きだ。
小学生の頃から通っている俺はあそこのバイトより本の配置を理解している。
新しく入ったバイトのやつが客に本の場所を聞かれてあたふたしているのを見るのも、
一つの楽しみだ。
むしろ俺が聞く。
新しいバイトには買いもしない本の場所を積極的に聞きに行く。
小学生の通知表に、積極性に欠けると書かれたが俺は大人の見てないところでの積極性はすごいんだ。
性格が悪いとかではなく。
この立ち読み部は18時までと決まっている。
帰って晩飯を作るからだ。
仕送りがあっても毎日外食できるほどの額ではないし、俺は食費を浮かせてちょろまかすのだ。
欲しいものが買える。
今のところ欲しいものはないが。
部活動場所と俺のマンションの間には大きな公園がある。
春とかお花見で賑わうし、幼稚園児とかが遠足でよく使うような、大きな公園。
俺の帰り道はそこを突っ切る。
夜の真っ暗な公園を自転車をシャカシャカ漕いで突っ切る。
たまに犬の散歩中のおじいさんが突然現れるから、あんまり飛ばしすぎるとキケンだ。
スリリングだ。でもライトは忘れない。
いつものように、暗い道を自転車の頼りないライトを頼りに走る。
いつもは、静かなはずの夜の公園から怒鳴り声が響いた。
暗い木が密集した場所からだった。
よせばいいのに、俺は自転車をとめた。
そして、声が聞こえた場所へとこっそり近づいていった。
強姦や、強盗、危険な犯罪現場だったらどうしよう。とかコワーイお兄さんたちの拳のお語り合いだったらどうしよう。とか、
いろいろ不安はあったけど、俺の足を動かしたのは、ただの俺の
野次馬精神だった。
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