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4ー08
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…本当に何やってんだ俺は。
自身の情けなさに胃が痛くなる。
一人で勝手に混乱して…変に意識して。
ザクロに背を流されながら視線を落とす。
思っていたより丁寧で…結構悪くないな。
気持ち良くて瞼を閉じ溜め息を吐くと、ザクロが静かに口を開いた。
「…オレね、嫉妬したんだよ。カジってヤツに」
「…え?」
想像もしていなかった事を告げられ、思わず言葉を失ってしまう。
「アイツは俺の知らない章人を沢山知ってる。そう思うとなんか切なくなってさ…たまらなかった」
「………」
「筋違いなのは分かってるよ。一緒にいた年季も違うし、そもそも入る隙なんて無い」
ピタリと止められる手。
けど俺は…ただ静かにザクロの言葉に耳を傾けた。
「オレこんなんだけど、今まで嫉妬なんてしたこと無かったんだ。けど君がアイツに笑ってる顔がとっても幸せそうでさ………胸が痛くて死ぬかと思った。オレと居るより、アイツと居る方が楽しいんだろうなーって」
「………」
「…っはは、本当にバカだよね。オレ淫魔だし、そんな事言えたもんじゃないのに。…ごめん、変な話して」
寂しそうに笑う声が痛々しく聞こえるのは…多分気のせいじゃない。
…胸がきつく、締め付けられた。
「…全くだ。そもそもカジとお前を比べるコト事態、間違ってるし」
「へ?」
驚くザクロを後ろ目に…俺は静かに言葉を紡ぐ。
「俺とアイツがそれなりに仲が良いのは年の離れた兄弟みたいなモノで、意味合いが全然違うだろ」
「…………」
「つまり、だ。俺が言いたいのは、その……カジも見たこと無い……お前しか、知らない俺も…多いから」
「………!」
「だからっ……そんな事、いちいち気にするな」
顔真っ赤にして何言ってるんだって、自分でも分かってる。
けど、言わずには居られなかった。
ザクロには…コイツには笑っていて欲しかったから。
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