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※情事4
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「あ」
僕は、自分が、弓弦さんの指が触れた部分から、何か別の生き物に変化していくように思った。
僕は身体をくねらせた。
まるで、脱皮しようともがく蛇のように。
弓弦さんの身体が、軽く僕を押さえて拘束していた。
僕は弓弦さんに舵を握られていた。
弓弦さんの指の感触が、僕を絶望から希望へ、希望から絶望へと揺さぶった。
弓弦さんは焦れる僕を見て堕天使のごとき微笑みを浮かべ、時折、含み笑いをした。
足掻いても足掻いても得られない充足。
まるで僕の心の渇望が具現したようだった。
心の渇望は、どうして癒されるのか知らないが、今感じている肉体の焦りは、もうすぐ確実に満たされるのだ。
充足の約束された焦燥は、希望に似ている。
僕は、今を生きている。
死の充足を期待して生きている。
充足は、ただ弓弦さんの一手に委ねられていた。
僕は、期待と失望を、交互に味わされ、翻弄されるごとに、期待の綱をきっちり弓弦さんに掌握されていった。
「お願い、逝かせて」
僕は死を願う人のように、懇願を繰り返す。
うわごとのように。
まるで祈りの言葉のように。
僕には何もできない、ただ弓弦さんに委ねるしか。
恐れから解放へ向かう感覚は、苦しくも甘い快感だった。
生から死へ向かう、甘い誘惑のように。
この世からあの世へ誘う、麗しき天使の導き手のように。
集約されていく焦熱の中で、彼はなおも揺さぶりをかける。
委ねよと。
完全に手を放せと。
まるでcredoを導くように。
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