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脅されたわけじゃない
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家に帰ると、弓弦さんはとっくに帰って来ていたようだった。
弓弦さんは、落ち着いた表情で安らかに、帰宅した僕を迎えた。
僕は、ほっとした。
嬉しかった。
昨夜からの迷いが、これでよかったのだ、と僕のしてしまった行為、犠牲、捧げ物が、報われたような気がした。
受け取ってもらえたように、受け入れてもらえたように、覚束ないながらも、感じた。
弓弦さんが、風呂上りにキッチンにいた僕に声をかけた。
「ちょっと、いいか」
「うん、何?」
僕は内心、来たな、と身構えた。
不安もあったけれど、彼の落ち着いた態度から、僕ががっかりするようなことは言われないと期待していた。弓弦さんは、僕の傍に立った。
「昨夜は、ごめんなさい。俺、君を脅しているよな」
「え?」
またもや、僕の膨らんだ期待はしぼんだ。
脅されているだなんて、そんな風に思って、彼に近づき、身を捧げる行為をしたわけではなかった。
僕は、彼に脅されて、犠牲になったわけではなかった。
そんな勘違い、思い違い、やめてほしかった。
「誰だって、こんな状況で迫られたら、承諾するしかないだろう」
彼は、苦悩して、自分を責めるような面持ちと口調で言った。
「こんな状況って?」
僕は、別に、彼に脅されていたわけではなかった。
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