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お前が出てけよ
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「お前がつきあってたって男、ほんとに出て行ったのか?」
金子が聞いた。
奴に、ほかの部屋の様子を勝手に見られたのかもれない。
それで、弓弦さんの痕跡がないのに気づかれたのかも。
「別につきあってたとかじゃない」
僕は、詮索されたくないので、なるべく素っ気なく、言った。
「いいかげん白状しろよ。そいつとどういう関係だったのか」
金子は気色悪いにやにや顔で言った。
「何も」
僕は、弓弦さんに、災禍が及ぶのを危ぶんで、弓弦さんのことは言うまいと思っていた。
それに、僕にとって、弓弦さんとのことは、大事にしたいことだから、誰にも、特にこんなやつなんかには、言いたくなかった。
自分の心の大切な部分を踏みにじられたくなかった。
こいつは、勝手に僕の領域に侵入していたが、そんなことまで、言いたくなかった。
「もう、わかってんだから、なあ、もったいぶらないで聞かせろよ」
醜い金子は、僕の肩を小突いた。
「やめろよ」
触られたくもなかった。
汚らわしい!
お前なんかが、触るな!
お前と同じ空間の空気を吸っているのすら気色悪い。
出てけよ。
出てけよ!
僕のテリトリーから出てけよ!
僕のプライベートスペースに勝手に入り込むな!
入っていいのは、弓弦さんだけだ。
お前なんか、出てけ!
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