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「エイラート」
泣きながら少年が答えた
「博士、いけませんよ」
セロジネがエイラートと名乗った少年を抱き締める
「何故甘やかす必要がある」
ペッツ博士がセロジネを軽く睨むその向こう、今度はもう一人の少年が身動ぎをして起き上がる
少年は灰色かかった茶色の髪に藍色の瞳で、タオルに包まれた体を起こしてからもぼんやりとしている
「これで話が聞けるのか?
そこのきみは泣き出したりしないだろうな」
目醒めたばかりの少年は不思議そうに口を開いた
「ここはどこですか?」
「研究所だ」
「研究所、」
少年は意識がはっきりしないのか辺りに目をやり考えこんでいた
そこへペッツ博士の苛立った声が飛ぶ
「先ず名前」
暫く悩み少年は首を振った
「分かりません、僕は誰なのだろう」
俯く少年を前に大人たちは言葉をなくす
エイラートは青緑の瞳で、もう一人の少年をジッと見詰めた
カラベラスが少年たちに温かい紅茶を差し出す
彼らが落ち着いた頃を見計らい、ペッツ博士が質問を切り出すが
エイラートは天然鉱石は含有物変化の法則をニュースで見、
好奇心から研究所へ来たのだと言う以外
家族や家の場所を尋ねても泣くだけで答えようとしない
もう一人の少年はプールに落ちる瞬間の映像しか記憶になく、他は一才覚えていないのだと言う
博士は溜め息をついた
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