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「俺は記憶喪失の少年が怪しいと思います」
とセロジネ
「根拠は?」
「記憶喪失ですよ
鉱石から人間になったところで構造が不安定なのです
そこへ衝撃が加わり、記憶を失ったんですよ」
「あのエイラート少年も怪しいと思うな」
カラベラスが客間を顎で示す
「泣いて誤魔化そうとしていますよ」
「まだ子供だからな」
「俺にはそれを盾にとっているように見える」
カラベラスの言うエイラートの子供らしさへ逃げる狡猾さをペッツ博士も感じていた
けれどセロジネの言う記憶喪失の少年へも疑いは残る
ここは深入りせず、今夜は何もなかったことにして二人とも家に帰すのが良策かもしれないが、記憶喪失の少年はそうもいかない
「それより元は私の孔雀石だ」
相手は鉱石、他のことはともかく
鉱石が絡むとなればペッツ博士は放っておけない
少年たちが鉱石でないと完全判明するまで手元において離したくない
ペッツ博士は暫し考えこんでいたが軽く瞬きをして言った
「実はこちらには最終手段がある、」
「なんです?」
「鑑定方法の1つで孔雀石には塩酸をかけると発砲しながら溶けるという特徴がある」
「それで?」
瞳に凄惨な色を浮かべるペッツ博士にセロジネが怯んだ
「ジュースにでも混ぜて二人に飲ませれば結果は自ずと出るだろう」
反論しかけたカラベラスの口をペッツ博士が塞ぎ、代わりにセロジネが問う
「人間がそんなものを飲んで大丈夫なんですかね?」
「濃度を薄くすれば平気さ
まあ、任せておきたまえ」
得意気に言うペッツ博士が短い悲鳴を上げた
カラベラスが博士の指を舐めたのだ
「水はもらえた?」
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