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「きみ、」
肩を揺り起こされ少年が目醒めれば例の研究所で、銅鉱床ではなく長椅子の上に彼はいた
「気分が悪いのかい?」
屈み尋ねるセロジネに少年はただ首を振る
いつのまにか入り込んだ夢の世界は心地好く、また恐ろしくもあった
まるで自分が孔雀石であったかのような錯覚を起こし
確かに人間だという自信をそこへ置いてきてしまった
「思い出した?
自分が孔雀石だと」
エイラートが出し抜けに言い
ペッツ博士が厳しい眼差しで少年を見詰め詰め寄る
「きみがそうなのか」
「違う…」
「ぼくは人間だ
だから孔雀石はきみだ」
「僕は孔雀石じゃ、」
「博士、やっぱり彼では」
セロジネが囁く
「ほら、みんなが言っている」
エイラートが言い放ち、ペッツ博士に腕をとられた少年は堪らず悲鳴を上げた
この人間の体は偽物なのだろうか、掴まれた腕の感触も何故か怪しく
少年は次第に人間だと言い張る方が間違いのような気がしてきた
消えた記憶の代わりに何かが刷り込まれた
博士の手を振り払い、少年は自分からさえも逃げようと立ち上がり走り
その後をペッツ博士が追う
博士に用意を頼まれていたカラベラスが騒ぎに顔を出す
「博士は?」
「子供が逃げたから追い掛けてる」
肩をすくめるセロジネに舌打ちし、カラベラスは二人が出て行ったドアを開く
「そのうち戻るさ」
「あの人は頭がおかしいんだ」
カラベラスがセロジネを睨んだ
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