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「祖父の家を脱け出し、町で一番高い丘で流星を見るつもりだったけど
乳白水晶(ミルキイクオーツ)のこの研究所を見つけて
思わず中に入ってしまいました」
扉は開いており、階段を上がった所で少年と鉢合わせ
「プールに落ちたのか」
「君、記憶が」
カラベラスが少年を床に下ろした
「どうしてまた急に思い出したんだろ
この子に何をしたんです?」
呆れるセロジネにカラベラスが憮然と答える
「この子には何も」
「うそだ!」
エイラートが叫ぶ
「自分が孔雀石だって、認めたくないだけだ!」
少年は静かにかぶりをふった
「僕の名前はアズル、
人間です」
「違う、僕が人間だ!」
少年達の主張を前にペッツ博士はカラベラスへ
キッチンから例のものを持ってくるようにと指示をした
程なく戻る助手の手には水が満たされた杯があり、
杯の底には空気の粒が沈んでいる
「ちょっとした実験だ
水に指をつけてごらん」
「なんですか?、これ」
アズルが尋ねると博士は口許を隠すように眼鏡を持ち上げた
「孔雀石の卵を当てる、魔法の水さ
エイラートから試してみたまえ」
カラベラスが屈み、杯を差し出すとエイラートは怯えた顔で後ろに下がる
「何も起こらない
君が人間であるならば」
ペッツ博士の言葉にエイラートはますます怯え
目の前の杯を思わず払い除けた
杯は宙を回転し、しかし中の液体はエイラートの肘にかかり
液体は肘の上で発泡しながら流れ落ちた
エイラートの悲鳴が上がる
「溶ける!
僕の体が溶けてしまう!」
腕を抱えて泣き叫ぶエイラートをカラベラスが押さえ、タオルで拭いてやった
「大丈夫、溶けてやしない」
落ち着いた声でカラベラスが宥めると小さな少年は震える瞳から大粒の涙をこぼし、自分の腕を見た
そこには傷ひとつない
「エイラート、君が孔雀石だな」
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